手紙
「拝啓、浅田真幸様。
君がこの手紙を読んでいるってことは、私はもうこの世にはいないってことよね。なんてありふれてるのかしら。
でもね、手紙じゃないと、私が死んだその時に君にこそ伝えたいこの気持ちを伝えられないの。ごめんなさいね、引きずらせるような真似をして。
私は、君が好きだった。すごく、すごく好きだった。だから、こんなことになって、本当に残念。
だけどね、私、もし私達の関係があのままだったら、そのうちだめになってたと思うの。
病気だって解る前の君は、私を好きなんかじゃなかった。だって、あの頃君は目さえちゃんと見てくれなかったもの。
病気だって解った時、一番怖かったのは、それがきっかけで君に捨てられること。
君はたまたま優しくて、私を可哀想に思ってくれて、嬉しかった。
君は私を見てくれるようになった。泣いて暴れても、抱きしめて慰めてくれた。背中を優しく叩いてくれた。
君が好きで本当に良かったって思ったよ。
もしかしたら私は、一番好きな人を引き留める為に、腫瘍を育てたのかも知れない。流石にそれは冗談だけれど。
でもね、病気には感謝してる自分がいるのは確かなの。
病気にならなかったら私、君にどんなひどいことを言っていたか解らない。少なくとも、もしこれ以上私を蔑ろにしたら、君を傷つけて、ずたずたにして捨ててやろう位のことを考えてた。私はそういう女なの、気付いてた?
これから生きていく君には、本当に申し訳無いことをしたなって思ってる。それこそ、自分の中の悪魔を剥き出しにして、君を突き放すことが君への本当の愛だったと今でも思ってる。
だけど、最後の最後、私は自分の欲望に勝てなかった。優しい君に甘えてしまった。
愛されてもいなかったのに、自分が死ぬことを利用して、君を引き止めるだなんて。君には重荷にしかならないのに、最低よね。
だから何が言いたかったかって言うと、早く私のことは忘れて下さいってこと。
私はこれから死ぬ自分のことを忘れないでなんて、絶対に言ってはいけないし、そんなこと望んでない。
でも私は弱くてずるいから、面と向かって君に他の誰かと幸せになってねなんて言えない。
でも、言えないだけで、本当に心から、君の幸せを願っています。
でも、やっぱりこんなの重すぎるわよね。だからこの手紙は、もう二度と読めないようにして、私のことは忘れてね。敬具
宮村凛子」
君がこの手紙を読んでいるってことは、私はもうこの世にはいないってことよね。なんてありふれてるのかしら。
でもね、手紙じゃないと、私が死んだその時に君にこそ伝えたいこの気持ちを伝えられないの。ごめんなさいね、引きずらせるような真似をして。
私は、君が好きだった。すごく、すごく好きだった。だから、こんなことになって、本当に残念。
だけどね、私、もし私達の関係があのままだったら、そのうちだめになってたと思うの。
病気だって解る前の君は、私を好きなんかじゃなかった。だって、あの頃君は目さえちゃんと見てくれなかったもの。
病気だって解った時、一番怖かったのは、それがきっかけで君に捨てられること。
君はたまたま優しくて、私を可哀想に思ってくれて、嬉しかった。
君は私を見てくれるようになった。泣いて暴れても、抱きしめて慰めてくれた。背中を優しく叩いてくれた。
君が好きで本当に良かったって思ったよ。
もしかしたら私は、一番好きな人を引き留める為に、腫瘍を育てたのかも知れない。流石にそれは冗談だけれど。
でもね、病気には感謝してる自分がいるのは確かなの。
病気にならなかったら私、君にどんなひどいことを言っていたか解らない。少なくとも、もしこれ以上私を蔑ろにしたら、君を傷つけて、ずたずたにして捨ててやろう位のことを考えてた。私はそういう女なの、気付いてた?
これから生きていく君には、本当に申し訳無いことをしたなって思ってる。それこそ、自分の中の悪魔を剥き出しにして、君を突き放すことが君への本当の愛だったと今でも思ってる。
だけど、最後の最後、私は自分の欲望に勝てなかった。優しい君に甘えてしまった。
愛されてもいなかったのに、自分が死ぬことを利用して、君を引き止めるだなんて。君には重荷にしかならないのに、最低よね。
だから何が言いたかったかって言うと、早く私のことは忘れて下さいってこと。
私はこれから死ぬ自分のことを忘れないでなんて、絶対に言ってはいけないし、そんなこと望んでない。
でも私は弱くてずるいから、面と向かって君に他の誰かと幸せになってねなんて言えない。
でも、言えないだけで、本当に心から、君の幸せを願っています。
でも、やっぱりこんなの重すぎるわよね。だからこの手紙は、もう二度と読めないようにして、私のことは忘れてね。敬具
宮村凛子」
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