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僕は君の未来を永遠(トワ)に。<46>

[381]  麻呂  2008-07-08投稿
* * * * * *

ユキちゃんの手術の日の朝――


僕は目覚めた時からずっと落ち着かなかった。


――とは言っても昨夜は、ほとんど寝ていない。


ユキちゃんの事が気になって眠れなかったというのが本当の所だ。


一人っ子で育った僕に、もしもユキちゃんみたいな可愛い妹がいたら、どんなに楽しい事だろう。


そう思える程、僕はユキちゃんが愛おしく思えた。


だから今日の手術は絶対成功して欲しい。


幸い、腫瘍は比較的悪性度の低いものであるらしい。


しかし、出来ている部位が腫瘍を摘出するには、なかなか困難な場所なのだそうだ。


この病院の脳外科医は道内で屈指の名医だと言う。


ユキちゃんの年齢は十歳で、比較的体力もある。


絶対に、この手術は成功させて欲しい。

いや、成功する事はほぼ間違いない。


間違いないんだ!!




『中山どうした?!ぼーっとしてないで早く外回り行って来いよ。』



部長は今日も機嫌が悪い。


経理課の松浦アヤノとケンカでもしたのか。


そういえば、松浦アヤノも今朝からカリカリしている。


松浦アヤノは部長とデキている。


周りの者は、皆知っているが、それを知らないのは当人同士だけ。


いわゆる究極のバカップルである。


いいよな。お偉いさんはさ。


ユキちゃんには、こんなバカな大人にだけは、なってもらいたくないな。


僕は、これから行われるユキちゃんの手術の成功を祈りながら、得意先の外回りに行く事にした。


外へ出ると、今日は珍しく北海道の夏らしからぬ真夏日だった。

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