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井上の憂鬱3

[546]  坂崎金太  2008-07-11投稿
俺はファーストフード店にいる。
そして、目の前に井上がいる。
その俺の知人で後輩のクソ野郎が俺を見て言った。
「何の用だ」
「お前が呼んだんだ」
その言葉に突っ込みを入れざるを得なかった。
それを聞いた井上は、
「で、何の用なんだ?」
「俺が聞きたい」
そしてそろそろキレたい。
「さっさと用件を言えクソ野郎」
井上はしぶしぶ口を開いた。
「俺、大学の教師になろうと思う」
「そうかおめでとう大学の教師か頑張ってなれやはぁてめえ何いってんの?」
馬鹿が馬鹿なこと言うのは当然だ。
が、井上は限度を知らない。というか無い。
「とりあえず知りたくないが理由を聞こう」
井上に尋ねてみる。
「昨日、そこの遊具で子供と戯れていたんだ」
はいカット。
「まずそこから疑問だ。なぜ戯れる必要があった?大衆の面前で」
井上は必死に弁解――
「戯れたかったんだ!」
――したつもりだろうか。
……つもりだな。つもりだよな?
「……分かった。続けてくれ」
「そしたらさ、そこにいた母親どもが白い眼で見てくるんだ」
当たり前だ。周りから見れば変人だろう。なぜなら周りから見ずとも変人なのだから。
「ああ、はい、そうか。……で?」
「何でそんな眼で見られなければならないのかと思ってさぁ」
ガキの中に混じって遊んでいたお前が明らかな馬鹿だからだ。
と、言おうかと思ったが、口にするのは面倒だから黙っている。
「で、考えたわけ。母親どもがそんな眼で見るのは、頭が悪いからだと」
…………。
思考回路が狂っているのか。
「だから俺が大学で鍛え直してやろうって思ったんだよ」
「そうか……病院行こうな」
やっぱり理由なんか聞くんじゃなかった。
「ていうか、何で保育士とか幼稚園の教諭とかにならないんだ?」
「子供が嫌いなんだ!」
どこから突っ込んで欲しいんだよ貴様は。
「ああそう。やっぱり精神科医に診てもらおうな」
井上はお構い無しに、話を続けた。
「で、そのために東大に行きたいんだ。頑張れば行けると思うから応援して欲しいとお前に言いたかったんだ」
「……………………ああ、応援してやる」
お前なら出来ないことは無い。なぜならお前は井上だからだ。
とりあえず俺の前に姿を現さないようにしてくれよ?井上。

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