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たかが1勝の喜び

[620]  こうちゃん  2008-07-12投稿
それは、昭和58年
空前のプロレスブームが全盛期を迎えようとしていた頃のことだった。
元々中学・高校といじめられっこだった僕だが、何故かプロレスが大好きで毎週末になるとテレビにかじりついていた。
そしていつの間にか、プロレスラーを自分とダブらせ、当時のいじめっこたちと心の中で闘っていた。
そして次第にエスカレートし、実際に身体で表すようになる。
リングは6畳の和室。いじめっこは、座布団。
リングコスチュームは、父親が風呂上がりに着ていたガウン。
僕はそのガウンを着て颯爽とリングに登場。そして、紹介される。リングアナは仕方ないから自分で。
そしてゴング。
「ドロップキック」
「ニードロップ」
いじめっこ?いや座布団を倒し、そしてホールに行く。
「レフリーがカウントを数える・・・」
と思いきや、母親が飛んで来た。
「何してるんや!」
「家つぶす気か!」
僕はそこで初めて現実に帰る。
こんなことをザーッと2年くらい続けていた。
今思えばこの時が格闘技への目覚めだったのかも知れない。

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