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Mind Adventure 30

[542]  籬 規那  2008-07-14投稿

周囲に何事かを訴えるかのような、明らかに異端である、黒い法衣。

何故黒い法衣でなければいけないのか、何故わかった。




影のなかで奇しくぬらりと光った赤黒い物体。

それは、他の何物でもない、魔物の角だった。




自らを律し、他人を寄せ付けない為に。


私でも、そういう選択をとったかもしれない。







「ここにいても、被験体として体を弄られるだけなのでな。ついでに逃がしてやる。」


ディルは不満気だが、今の出口が何処かもわからない状態から脱するには、もはやこれしか無いだろう。

「よろしくお願いします…」


ディルは妖需の言葉に何か反論しようとしたようだったが、妖需の顔を見て、舌打ちをした。





「フィレーネの居場所をご存知ですか?」

彼は黙って首を振る。

しかし、時間をかけて計画していたとしか思えないほど、妖需達は道をスムーズに進む事ができた。


「……何か仕掛けでもあるんですか?」


流石に不思議に思ったのか、頑なに彼を怪しんでいるディルの代弁なのかはわからないが、妖需は尋ねた。


「見張りに会わない事か?」



こくり、と妖需が頷く。

彼は、横目で様子を窺い見る、ディルを一瞥してから、ポケットから小さな箱を出した。




無造作にそれを手渡された妖需が、側面を見、裏側を見て顔色を変えた。


「………封魔香…!?じゃあ、見張りは魔物……?」

「半分正解。ただし、封じるられ、嫌悪をもよおすのはヒトの血だ。」






と、言う事は、だ。
俺達は、ヒトでないと。


「俺等に何を飲ませた」


嫌な予感というのは、当たらない割に何故か心を乱す物だ。



「一時的に、魔物の特性が強くなる薬だ。生物で確証済みだから問題ない」

うっっさんくっさ。

妖需が肩を竦めたのが、後ろからでもはっきりとわかった。



「あれ………」

何か音がしない、と妖需が小首を傾げる。



とか言ってる間に、何かが派手な音を立てながら高速で近づいて来る。


「来るぞ」

一行の緊張が、一気に高まった。

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