僕は君の未来を永遠(トワ)に。<47>
『暑ぃ〜っっ!!今年は異常気象だな。』
北海道の夏は三十度を超える日なんて、あまり無いんだから。
汗が次から次へと吹き出して来る。
僕は、スーツの内ポケットからハンカチを取り出し、汗を拭いた。
しかし、こんな滅多に無い真夏日でも、ネクタイを締めて、スーツ姿でいなければならないサラリーマンて、かなりツライ。
よく考えて見ると、ウチの会社の浄水器って、高いだけ高くて、本当はただのボッタクリじゃないのか。
僕の仕事は、毎日浄水器のメンテナンスの為に何件も得意先を回る事の他に、新規開拓もしなければならない。
メンテナンスだけならいいのだが、新規開拓をしなければならないというのが、僕の大きなプレッシャーなのだ。
個人のお宅へ訪問する時には、勿論アポイントを取ってから行く訳だが、時にはアポ無しで行く事もある。
まぁ、そういう時は大抵、部長に営業成績が振るわない事を鋭く指摘され、更に大きなカミナリが落ちた時だ。
僕も成績を少しでも上げたいが為に、焦ったりして、結局自分の心に余裕が無い時には、お客さんにもその心が通じるのか、旨くいった試しが一度も無い。
時には、“しつこい!!帰れ!!”と塩を撒かれた事もある。
だから僕はいつも思っていた。
僕に“営業”という仕事は絶対向いていない―――と。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪〜♪
突如、僕の携帯が鳴った。
エリカちゃんからのメールだ。
僕は、待ちに待ったそのメールの内容を、携帯を慌てて開いて確認した。
《ユキちゃんの手術は大成功だよ。》
よっしゃっっ!!
僕は、思わずその場で拳を握り締め、
心の中で、そう叫んだ。
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