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夕日が沈む前に(11)

[153]  主役は銭形  2008-07-17投稿
茜はそのまま何も言わずにどこかへ行ってしまった。俺はそこから動くことができなかった。俺は重い足を何とか動かして茜の病室まで行った。そこには茜の姿はなく、母親が元気なく椅子に座っていた。
「あっ。高橋さん。今日は本当に申し訳ありませんでした。何て言ったらいいか…」
母親は椅子から立ち上がり申し訳なさそうに俺に言った。
「いいんですよ…それよりも俺……」
俺は茜を叩いたことを言うべきか迷った。それから長い沈黙が続いた。すると母親は不思議そうに俺に聞いた。
「何ですか。」
まるで小さい子に聞くように優しい声だった。俺は慌てて返事をした。
「俺……また来てもいいですか。」
俺は探るように母親に聞いた。
「もちろんですよ。またいらして下さい。茜も喜んでくれると思いますから。」
母親は明るく嬉しそうに言った。でも母親からは元気が感じられなかった。春の風が母親の髪をなびかせた。
「じゃあ、明日来てもいいですか。仕事が終わってからですけど…」
母親の様子をうかがいながら聞いた。
「もちろんです。お待ちしています。」
優しく母親は俺に言った。
「それではまた明日来ます。」
俺は一礼をして病室を出た。そして、静かに扉を閉めた。

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