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瞳そらさないで

[201]  メタル  2008-07-18投稿
残りの一玉がパチンコ台に吸い込まれたのを確認するとタカシは席を立った。タカシは店員や他の客の視線を釘付けにしてパチンコ屋の外に出た。ボンタンに短ランでは無理もない事だった。
タカシは17歳の某工業高校の2年生だった。同じ族のユウジとの待ち合わせに向かう途中に余った時間を後輩から頂戴した2000円で潰すつもりだった。しかし2000円で済むはずもなくあれよあれよと言う間に8000円も入れていた。ようやくひいた大当りも単発に終わりタカシはイライラしていた。
『わりー待たせたな。』
ユウジは5分遅れて現れた。かなり遠くからタカシはユウジが近付いていることをわかっていた。それもそのはずユウジのバイクの轟音は例えようのないやかましさでユウジの祖母はそれを『戦時中を思い出す』と表現したほどであった。
『いいけどよ。お前気持ちわりーなー。何だよ話って。学校や集会じゃ言えねーことなんてあんのかお前?!』
タカシのイライラがパチンコによるものだとユウジにはすぐにわかった。
『すまねーすまねーって!まぁちょっと待てよ!どっか場所移そう!単車ファミマの前に停めようぜ!』
『俺帰るぞ!今日イライラしてんだよ!お前たいした用事じゃねーだろ?!』
そういうとタカシはユウジをおいてファミマとは反対側に歩きだした。
『ちょ、ちょっと待てよ!』
タカシは無視して歩き続けた。ユウジとの間に30メートルほどの距離ができたところでタカシはユウジの次の言葉に我が耳を疑い振り返る!
『お前今何て言った?!』『俺、公務員になりたいんだ・・・。』
そこには恥ずかしそうにうつ向き加減のユウジがいた。
後編に続く

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