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[短編]輝

[336]  佐倉 カオル  2008-07-20投稿

ベットにごろりと横になった時、ふと目に入ったのは中学生の時のアルバムだった。


何気なく開いてみると、ある写真を見つけた。


全員で撮った集合写真。


その中に彼を見つけた。


黒ぶちメガネをかけているのに、どこかやんちゃな男の子をイメージさせる姿。


どうしてだろうか、その写真からほこりくさいにおいと同時に、彼の、男の子の匂いがしたみたい。


その匂いに少しドキドキしてるのは、きのなんかじゃないよね…。


今でも覚えているんだ。


隣に座る、彼の匂いを。


なんとも言えない、汗くさい、だけどくさくない男の子匂いだった。


隣に座る、彼の体温を。


もう一生感じることのできない彼の体温。


今頃彼は、どうしてるだろうか。



小学生の時も、中学生の時も、‘席替え'という行事が大嫌いだった。



残り物の、1番ボロくなった机に椅子。


隣になってしまった男子の嫌味な声。


周りの女子からの反感の声。


全部全部嫌だった。


劣等感と孤独感におそわれる。


だから席替えなんて大嫌いだったんだからね..



それは、今も変わらない。


だけどあの時だけは違った気がした。


あなたの隣になって、少し、ほんの少しだけど変われたよ?



ポツ..


アルバムの彼の写真に、小さな水溜まりができた。


ほんの、ほんの一瞬の出来事だったけど、私には何十年、何百年の出来事だったように思えた。

アルバムの中の彼を見つめながら、ゆっくり、ゆっくりとかれのことを思い出した。

つづく…


*輝…‘ひかる’と読みます!

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