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未設定ー17ーキミらの一人、現るの世界

[482]  未伊子  2008-07-21投稿
 チビろぉ〜のおねしょ騒動で、いったん家路に着いた未伊子さんであった。
想像通り、あちこちに濡れたパジャマで歩いたと思われるチビろぉ〜の足あとと、ばらばらに散らした服(チビろぉ〜の)があった。
「ごめんな〜」
玄関先で座り込んだチビろぉ〜に声をかける未伊子さん。
「ドコおった、と?」
抱きつきながら、チビろぉ〜は言った。「コインランドリーだよ!電話で言ったやん」
「わからん、なん?」
そうかまだ理解出来ナィか〜、未伊子さんは小さな体を抱きしめて思った。
「洗濯したりするトコだよ、おねしょ布団もコレから洗おう、くるか?」
「いく」
答えは予想通り、心ぼそかったチビろぉ〜は未伊子さんのそばを離れる気はないだろう。
改めて、濡れた布団と着替えたパジャマを抱えて、チビろぉ〜と手をつないで車へ、外の雨はまだやまない。

「濡れるからダッシュ」の声とと共に夜中の駆けっこ。
バタバタと車に乗りこんでコインランドリーへとUターン。

「まだおったんかい!」
未伊子さんは加藤創に声をかける。布団を小脇に抱えて子供と手をつないで雨の中をかけてきた勇ましい姿を創はまぶしそうに眺めた。
「チビろぉ〜、あいさつは?」未伊子さんの後ろに隠れているチビろぉ〜を前に突き出して言った。
「おじさん、こんちわ」
丁寧に頭を下げてチビろぉ〜が言ったのだが、創はいろんなコトに悲しくなったいく。
「おじさんじゃなかろうもん!まだ未伊子さんよりかなり若いとぞ」
「ワタシもおばさんやし、そう変わらんなァ」
未伊子さんはチビろぉ〜と顔を見合って笑った。
(ちくしょ〜、子供連れてくるなんて、リアルすぎなんじゃあ。それにその笑顔はがばい特上やんか〜)創は
「一応見張り番しとった」
自分の乾燥機が停止したので、そう言うと立ち上がった。
「おじさん帰るやて、サヨナラは?」
未伊子さんにうながされてチビろぉ〜が小さな声で
「…サヨナラおじさん」と言った。
「そいぎ、また明日。おじさんじゃ、なか!」
創は何故か子供相手にむきになりながら、店から出て行った。

「ここでジャブジャブするんだよ〜」
洗濯機に布団を押し込み、未伊子さんが言うとチビろぉ〜は興味深く機械が動きだすのを見ていた。
《ー続くー》

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