侍?
いくらその町人の連れが体驅のごつい男だからといって、相手は丸腰、突然へっぴり腰に抜刀したところで弱気になった心中を晒け出している事にしかならない。抜いてるにも構わずに町人の連れが威嚇する様に一歩踏み出して見据える。怖がってないのが良くわかる。弱腰に刀をチラつかせたところで何にもならない。そこで唐突にその町人が連れの非礼を詫びると、見逃してやる立場となった事に安堵し、一息つくと刀を納める。そうしてそそくさと立ち去って行く様は虎の意を借りた鼠か何かだ。これでは侍が時世に取り残されるのも仕方ない。
しかしその浪人の気持も痛いほどわかる。自己流だろうとなんだろうと、刀で食っていける時代は確かにあった。世の流れにそって生きてていく何が悪いという訳では無い。きっとその浪人も、今頃は後悔しているに違いない。もっと鍛練を積んでさえいれば、賭場の用心棒どころか道場の師範代なりで身を立てられただろうと思ってる筈だ。
さて休憩もここまでだ。あの浪人の事ばかり考えてたところで何にもならない。俺も今日の内にこの楊枝作りを終らせないと、明日にも食いっぱぐれとしまうのだから。
しかしその浪人の気持も痛いほどわかる。自己流だろうとなんだろうと、刀で食っていける時代は確かにあった。世の流れにそって生きてていく何が悪いという訳では無い。きっとその浪人も、今頃は後悔しているに違いない。もっと鍛練を積んでさえいれば、賭場の用心棒どころか道場の師範代なりで身を立てられただろうと思ってる筈だ。
さて休憩もここまでだ。あの浪人の事ばかり考えてたところで何にもならない。俺も今日の内にこの楊枝作りを終らせないと、明日にも食いっぱぐれとしまうのだから。
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