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蜘蛛と僕

[397]  しゅう  2008-07-22投稿
古い旅館で


永すぎる春を読んでいた時


ふいに大きな蜘蛛が入って来たことに気づいた


僕はこの休暇中は


殺生はしない


ことを試そうと思っていた


もちろん大小関わらずだ


僕は



新たな侵入者を防ぐために

二人きりになった


二人きりになって


気にならぬふりをしながら


とても本の活字に注目できず


とても緊張をしていた



これは蜘蛛と糸だ


試されているのだ


僕は果たしてこの蜘蛛のどこがイヤなのかを考えた


毒がある可能性か


はたまた僕の顔の上を通り過ぎることか


いくら考えても僕はどうしても二人で密室にいることが耐えうる選択肢は無く


時間をかけ


ドアの外になんとか誘導をした


これが二人の最良の道だ

そうして僕は


いつだって一人だ


僕はいつだって


最良の


一人の道を選択してきたんだ

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