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エリザベスドール 〈プロローグ〉

[696]  ぐうりんぼ  2008-07-22投稿
E国きっての大富豪…アースル・バーソロンと妻のサラーには1人娘がいた。

名前はジーナ。

とても可愛いくて、気立ての良い女の子。

だが、生まれつき病弱の身。

その為か、親しい友達がおらず、等身大の人形エリザベスを友達のように慕っていた。

17歳の冬、ジーナは大きな病に侵された。

しかも不運な事に、長くは生きられないと言う。

─私はもう、助からない。死ぬ。─

ジーナ自身、自らの余命を悟った。

でも、死ぬ事は怖くはない。

17年と言う短い生涯だったけど、とても幸せだったからだ。

悔いはない。

…ないけど、エリザベスの事だけが気になる。

「私の愛する人形…。
愛するエリザベスは、どうなるの? 不安だわ」

そこでジーナは両親に言った。

「お父様、お母様お願いがあります。
エリザベスを私だと思って大切にして下さい」

「何を心配しているんだジーナ?」

「私が死んでしまったら、エリザベスは1人ぼっちになってしまう。
今後どうなってしまうのか不安なの」

「安心なさいジーナ。
エリザベスを処分したり、余所なんかにやったりはしない。いつまで大切にするからな」

「ありがとう」

床に臥しているジーナはアースルの手を取った。

ジーナはその後、両親に見守れながら、息を引き取った。


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