花冠3
花柄のティーカップとポットをお盆に乗せて、少女が戻ってきた。
目の前に置かれた白い湯気の立つカップを手に取り、口を付ける。なんとも清々しいハーブの匂いが、鼻腔に広がった。
「この花冠とブーケは君が作ったのかい?」
旅人が尋ねると、少女は顔を綻ばせて、
「そうよ。可愛いでしょう?もうすぐ完成するの。そしたらこれを被って、ブーケを持って、白いドレスを着てお嫁に行くの」
少女の頬が薔薇色に染まり、若い花嫁特有の瑞々しい美しさが目に眩しく映った。
旅人は祝福の言葉を述べ、少女ははにかみながら嬉しそうに礼を言った。
「ところで君の家族はどこにいるんだい?さっきから見当たらないんだけど」
旅人は辺りを見回しながら訊ねた。
「パパは今海に出て魚を獲ってるわ。ほら、そこの窓から見えるでしょう?」
少女が指し示した窓を見ると、確かに鮮やかな青を湛えた穏やかな海に、白い船影が一艘浮いている。
どうやら家の裏側は崖になっており、その下が海になっているようだ。
「ママは町までお買物に行ってるわ。だから帰ってくるまで、旅の面白いお話を聞かせて」
少女にせがまれ、旅人はでは…と話し始めた。
目の前に置かれた白い湯気の立つカップを手に取り、口を付ける。なんとも清々しいハーブの匂いが、鼻腔に広がった。
「この花冠とブーケは君が作ったのかい?」
旅人が尋ねると、少女は顔を綻ばせて、
「そうよ。可愛いでしょう?もうすぐ完成するの。そしたらこれを被って、ブーケを持って、白いドレスを着てお嫁に行くの」
少女の頬が薔薇色に染まり、若い花嫁特有の瑞々しい美しさが目に眩しく映った。
旅人は祝福の言葉を述べ、少女ははにかみながら嬉しそうに礼を言った。
「ところで君の家族はどこにいるんだい?さっきから見当たらないんだけど」
旅人は辺りを見回しながら訊ねた。
「パパは今海に出て魚を獲ってるわ。ほら、そこの窓から見えるでしょう?」
少女が指し示した窓を見ると、確かに鮮やかな青を湛えた穏やかな海に、白い船影が一艘浮いている。
どうやら家の裏側は崖になっており、その下が海になっているようだ。
「ママは町までお買物に行ってるわ。だから帰ってくるまで、旅の面白いお話を聞かせて」
少女にせがまれ、旅人はでは…と話し始めた。
感想
- 11186: 早く続きが読みたいよ。 [2011-01-16]