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未設定ー18ーキミらの一人、現るの世界

[361]  未伊子  2008-07-24投稿
「♪じゃぶ、じゃぶ、回ってまわって…」
はじめてみる大きな洗濯機に、興奮気味のチビろぉ〜が自作の歌を披露する。ノリノリだ。
「母ちゃん、ウチの洗濯機もこういうのに、しよ〜」
未伊子さんを見上げて、真剣に訴える。
「なして?」聞かなくても想像はついたが、未伊子さんは一応尋ねてみた。
「中が見れて楽しかっ」とニコッとする。
「やっぱりね〜。そんな理由では買えません。チビろぉ〜が大きくなってお金を稼ぐようになったら、買うてくれ」
「うんわかった!いつ大きくなるかな?早くならんかな〜」
「本当に分かってナィだろ〜、それは」
「わかっとるばい、大きくなるちゃろ。となりの大斗くらいに」
(やっぱりね、分かってナィな。大斗くんは一年生。一年生では、まだ稼げナィやろ〜)未伊子さんはニャつきながら、チビろぉ〜とのおしゃべりを楽しんでいた。

雨はまだ降り続いていた。


暗い通路にて勝見が携帯を触っていた。休憩のたびにメールを送ってみる。
こうなりゃ意地だ。

ーカツミですー

明日はヒマですか?どっか遊びに行きませんか?



小一時間たつとチビろぉ〜は、しゃべり疲れて眠くなり始めた。ほんとは寝てる時間だもんな。
未伊子さんはウトウトし始めたチビろぉ〜を抱っこして、ベンチに座った。
(洗濯が終わったら乾燥機へと移動させなきゃならんのだか…どうしよ〜)
いったん車に乗せおくほうがイイか、と未伊子さんが思案しているとまた加藤創が現れた。

「あれ〜寝たんすかァ、残念だな〜お菓子買ってきたのに…」
手にビニール袋をぶら下げて創がやって来た。
「帰っても何もすることないな〜って、思ったら。チビろぉ〜と仲良くなるのも楽しいかと」
創は恥ずかしそうに笑いながら、言った。
「ちょうどよかったさ〜。こればこっちに移して、コイン3つくらい放り込んでくれん?」
未伊子さんはあごで洗濯済みの布団を差して、頼んでみる。「了解?」
創はいそいそと言われた通りに運んだ。(がばい可愛いか〜『〜して、くれん?』の時の顔。チクショ〜やっぱ戻ってきてよかった〜)
「ありがとう助かったよ〜。」
(イヤイヤ、そのチビろぉ〜を抱っこしたお姿は聖母様のようですよ〜見れてよかった〜)妄想炸裂の創だった。

《ー続くー》

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