獄式瞑想-舌切り雀-2
-過去の話-
今年の冬のこと。
寒い日々が続いている。
「寒いね〜魅月」
「冬だから当たり前だよね。それより…この前できた喫茶店行かない?」
この仲良しな二人が向かっていたのは、
【雪の城-Snowy-】
という喫茶店だ。
学校から出て駅に向かう途中。
本屋と花屋に挟まれるようにしてその店はあった。
「わぁ…綺麗な外装ね」
唯那の口から漏れたのは感嘆の言葉だった。
「これって本物…じゃないわよね?」
店の壁には白い雪が降り積もっている。
それを魅月は手に取る。
ふいに雪は溶けた。
「本物だ…」
「本物ね…」
二人の声が重なる。
…と同時に、店のドアに吊してあるベルが鳴る。
中から出て来たのは若い青年だった。
「ん…、君達お客さん?」
青年の着ている
【Snowy】とプリントされたエプロンから、彼がこの喫茶店の店員だと判断できた。
「いやぁ〜…新しくできたって聞いたんで」
「寒いでしょう?
中に入って下さい。僕は花に水をあげてから戻りますから」
「んじゃ…入ろっか」
唯那に軽く手を引かれるようにして魅月も店内に入る。
「わぁ…」
店内はまさに雪の城だった。
続く-to be continue-
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