僕は君の未来を永遠(トワ)に。<54>
『店を出たら、やっぱ暑いね。今日、札幌は32度もあるんだってさ。』
『うん。お店の中はクーラーが効いてて快適だったから、外へ出たら余計に暑く感じるわよね。』
『でもさ、北海道は本州の人に言わせると、“涼しい”んだって。大阪辺りなんか、40度近くあるんじゃないかな。』
『え〜っっ?!うそ???マジで?!』
そんなたわい無い話をしながら、僕達はゆっくりと夜の札幌の街を歩いていた。
行き先も分からぬまま―\r
ただ、この生温い風の吹く夜のネオンの世界に―\r
まるで何かに引き込まれるかの様に―\r
僕達は、夜の闇へと導かれていった。
* * * * * *
彼女いない歴23年(もう直ぐ24年)の僕にとって、
女のコとこういう場所に来たのは3回目だった。
1度目は16になって直ぐ。
当時大学生だった近所のお姉さんと。
素通りする様な初めての体験は、僕の中で苦い思い出として記憶に残っていた。
2度目は、今此処に一緒にいるエリカちゃん‥彼女と。
十七年ぶりに再会した先日―\r
彼女がかなり酔ってしまい、止むを得ず一緒に泊まった。
けれど、あの日は何も無かったし、そのつもりで入った訳ではなかった。
そして3度目は今‥‥まさしく今現在―\r
ドキドキしていた。
多分、彼女も。
部屋の中に入った僕達は、お互いに言葉も無く―\r
ただ、ゆっくりとしたトキだけが、2人の間を静かに流れ過ぎていった。
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