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おばあちゃんの恋と私?

[96]  アクア  2008-07-27投稿
おばあちゃんは、あの薄緑色のマスクから苦しそうに途切れ途切れに言った。

「もう一度…会いたかった」
私の手を握る左手に微かに力がこもる。

「あの人に、伝え…たかった」

おばあちゃんの目元に涙が滲んでる。

「ゆか…あなたは…」
「おばあちゃん!」

掠れたおばあちゃんの声に私は胸が苦しくなった。

「後悔しないように、生きなさい…」

おばあちゃんの右手には古い写真が握られている。

左手がどんどん私から離れていく。

「おばあ……ちゃん…」

おばあちゃんには昔大好きな人がいたけど、伝えることが出来ないまま別れて、そのすぐ後、三年前に亡くなったおじいちゃんとお見合い結婚したって。
相手の気持ちはわからなかったけど、伝えたかったって。

私がお見舞いに行った時に何度も話してくれた。

「お父さんには悪いんだけどね…」

ふふっと可愛い笑顔を浮かべるおばあちゃんは、今もその人に恋をしているようだった。

多分していたのかも。

いつまでも女の子は女の子なんだもの。

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