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君のために…(3)

[264]  じゅりあ  2008-07-29投稿
仁が言い終わる前に、腹に拳を入れてやった。
みなまで言わなくてもわかってるからだ。

「何すんの、こうちゃん!…お腹の子がぁ〜」
大袈裟に腹を抱え込んでいる仁を右側に…

「さおりんは、胸がないんじゃないっ!小振りなだけだっ」

…と言ってしまってから気付く。

ここが男子校で、茶化す輩が大勢いるって事。

「何?松葉彼女が貧乳!?」
「こうちゃん、しっかり揉んでやれよっ」
「オレにも揉ませろや!」

…言いたい放題だな。

「も、いいって!!」
俺は仁を連れてそそくさと教室を出る。


「お前、あーゆう事言うのやめろよ」
俺が長身の仁に食って掛かるように言う。
すると、仁は定着化した短髪を触りながら答えた。

「イヤ、皆にばらしたの、こうちゃんでしょ」

「……」
確かにそうな訳だけどさ。

仁は大きくアクビをして、鼻を擦る。
その様子を、じっと観察する俺。
何か言ってやりたいけど、予礼のチャイムが鳴った為、俺は仁と肩を並べあの教室へ戻った。

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