エリザベスドール(9)
ジミーは一緒にルークの自宅へやって来た。
人形は何事もなかったかのように物置にあった。
触っても、ピクリともしない。
体を揺すっても同じ。
ルークは首を傾げる。
「おかしいな」
頭を掻きながら、眉間にシワを寄せるルークをジミーは腕組んだままジッと見つめている。
「どうだ?」
「うーん」
ジミーは人形の肩を叩きながら言った。
「よーく見ろよ。
コイツは図体がデカい、ただの作り物だ。
生き物なんかじゃない」
「でもさっき、動くところを見たんだ!」
「錯覚だよ錯覚!
人形ばかり夢中になって、錯覚起こすんだ!
しっかりしろよ!」
「しっかりしてるよ!
でも実際…」
「もうイイ、何も言うな! イイか!?
大体…こんな薄気味悪い人形を置いているのが、そもそもの間違いなんだ! 分かるか!?」
「分かるけど…。
じゃあ、どうしろって言うの?」
「悪い事は言わん。
思い切って処分しちまう事だ」
「処分しろなんて…」
「なに迷ってんだよ?」
「迷ってない」
「この際、人形に対する変な感情なんか捨てろ。そうしないと、いつまでたっても悪い夢ばかり見てしまうぜ」
「…」
「しょうがねえな!
俺はもう、帰るからよ。ついでにコイツ、捨てて来てやるよ」
ジミーはそう言って、人形を自分の軽トラックに積んで帰った。
─エリザベスが、いなくなった─
1人ポツンと残ったルークは大切なモノを失ったような淋しさを覚えながらも、肩の荷が降りてホッとした気分に浸った。
吹雪の中、ジミーは街の郊外の薄暗い森にやって来た。
適当な場所にクルマを停める。
さっそく、ジミーは荷台に縛り付けていたロープを解くと、人形を抱えて路肩の方へ歩み寄った。
「どこの馬鹿が作ったんだ、こんなデカい人形!薄気味悪いぜッ!!」
ジミーは吐き捨てるように言って、人形をガードレールの上から崖下に放り投げた。
「♪〜♪〜♪」
荷台を整理したジミーはクルマに乗り込み、缶コーヒーで一息付いた。
カーラジオからジミーの好きなラップの曲が流れている。
クルマを走らせようとした時、正面に目を向けたジミーの背筋が凍り付いた!
フロントガラスの向こう側に、物凄い形相でこちらを睨むエリザベス人形の姿があった。
吹雪の中でジミーの断末魔の叫び声が響く。
つづく
人形は何事もなかったかのように物置にあった。
触っても、ピクリともしない。
体を揺すっても同じ。
ルークは首を傾げる。
「おかしいな」
頭を掻きながら、眉間にシワを寄せるルークをジミーは腕組んだままジッと見つめている。
「どうだ?」
「うーん」
ジミーは人形の肩を叩きながら言った。
「よーく見ろよ。
コイツは図体がデカい、ただの作り物だ。
生き物なんかじゃない」
「でもさっき、動くところを見たんだ!」
「錯覚だよ錯覚!
人形ばかり夢中になって、錯覚起こすんだ!
しっかりしろよ!」
「しっかりしてるよ!
でも実際…」
「もうイイ、何も言うな! イイか!?
大体…こんな薄気味悪い人形を置いているのが、そもそもの間違いなんだ! 分かるか!?」
「分かるけど…。
じゃあ、どうしろって言うの?」
「悪い事は言わん。
思い切って処分しちまう事だ」
「処分しろなんて…」
「なに迷ってんだよ?」
「迷ってない」
「この際、人形に対する変な感情なんか捨てろ。そうしないと、いつまでたっても悪い夢ばかり見てしまうぜ」
「…」
「しょうがねえな!
俺はもう、帰るからよ。ついでにコイツ、捨てて来てやるよ」
ジミーはそう言って、人形を自分の軽トラックに積んで帰った。
─エリザベスが、いなくなった─
1人ポツンと残ったルークは大切なモノを失ったような淋しさを覚えながらも、肩の荷が降りてホッとした気分に浸った。
吹雪の中、ジミーは街の郊外の薄暗い森にやって来た。
適当な場所にクルマを停める。
さっそく、ジミーは荷台に縛り付けていたロープを解くと、人形を抱えて路肩の方へ歩み寄った。
「どこの馬鹿が作ったんだ、こんなデカい人形!薄気味悪いぜッ!!」
ジミーは吐き捨てるように言って、人形をガードレールの上から崖下に放り投げた。
「♪〜♪〜♪」
荷台を整理したジミーはクルマに乗り込み、缶コーヒーで一息付いた。
カーラジオからジミーの好きなラップの曲が流れている。
クルマを走らせようとした時、正面に目を向けたジミーの背筋が凍り付いた!
フロントガラスの向こう側に、物凄い形相でこちらを睨むエリザベス人形の姿があった。
吹雪の中でジミーの断末魔の叫び声が響く。
つづく
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