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Killing Night Freaks/Chap.1-5

[353]  夢の字  2008-07-30投稿
 起き上がったばかりの姿勢では到底避け切れるものでは無い。だから左腕を差し出した。ぞぶりとナイフが突き刺さる。冷たい感触。直ぐに熱くなる。熱に伴う痛みに思わず顔が歪み、けどそんな暇もないのだと思い直した。少女が両手にナイフを、瞳に憎悪を湛えて突っ込んで来る!

「ッ!」

 反射的に動かした左手に、黒塗りの刃が突き込まれる。そのまま腕を捻り持ち上げられた。がら空きになった胴体、そこに踊るように回る少女が滑り込む。ちょうど、身体の中に少女が納まる構図。抱きしめているみたいだ、なんて。

「がっ、は、ぐ、あ、あああああぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 身体を捻ったときの勢いを乗せて脇腹に潜り込んだナイフが、その存在を強烈に主張し始めた。けれど少女は止まらない。左手のナイフが腱を切断し、回る。逆回転。僕の身体から抜き放たれたナイフが胸に二本の線を描く。浅い。致命傷ではない。たたらを踏んで数歩、少女から離れた。僅かに射程外。この隙に一気に距離を稼ぐ!

 足に力を込めると、案の定少女は追撃の構えを取った。左手のナイフを捨てての突貫。腰だめにしたナイフが必殺の威力を連想させる。でも、甘い!

「……な、」

 唖然とした声。紛れも無く少女の口から漏れたもの。その声で分かる。彼女は本心から、自分の持っていたナイフが宙に浮いていることが理解できていない。にしても、こんな声してたんだ。可愛いな。そんなことを考えながら、僕は少女に足払いをかけた。体重が乗っていた足を払ったため、簡単に転ぶ。

「きゃ」

 短い悲鳴。試合終了の合図だ。気の抜けた声を聞きながら立ち上がる僕に、少女は鋭い視線を寄越す。

「動かないで」

 まだ抵抗を試みようとした少女にナイフを突き付けた。二度目に投げられ、腕に突き刺さりっぱなしだったものだ。ううん、刃に付着した僕の血液が生々しい。

「……どうして」
「それは、なんで君が負けたかっていうこと?」

 それなら言葉にすれば簡単で、僕が後ろに飛ぶフリをして故意に足を滑らせ、からぶったナイフ目掛けて足を振り上げただけのこと。で、見事命中。ナイフは遠く柵の向こう。左手のナイフを捨てたのが仇になった。反撃の術は無い。よしんばナイフをまだ持っていたとしても、僕がそれを許すはずもなく。でも、そのまま教えるのも癪なので。

「ちょーのーりょく」

 とだけ、答えて置いた。

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