Killing Night Freaks/Chap.1-6
「超、能力……」
呆けたように、少女が繰り返した。いや、嘘なんだけど。そんな反応されると気まずい。痒くもない頬を掻こうとして左手を持ち上げ痛い。そういえば刺されてたんだった、なんて気付いたときには全身の傷が痛み始めていた。ヤバイ痛い。特に脇腹が物凄く。内蔵にまで届いてるんじゃないだろうかコレ。早めに病院行かないとなぁ。血とか凄い出てるし。
「……ユーザー? じゃあ、やっぱり……」
「ん?」
「何でもないわ」
少女が何かを呟いたようだったけど聞き取れなかった。ううむ、ユーザーがどうとか。ま、疑問は後々解決するとして、それよりもまずは聞きたいことがある。
「ねえ、聞きたいことが有るんだけど」
「私にも有るわ」
予想外の反応にびっくりした。落ち着いてるなとは思ってたけど、まさかここまでなんて。ナイフ、見えてないんだろうか。怖がっている様子はまるで無い。
しかし、どう反応しようか。ナイフを突き付けながら、隙を見せないようにして思考する。彼女の質問とその意図は何か。両方の予測を立て、先回りして答えを言った。
「カヅキ。兎場、歌月」
「……はい?」
「あれ、名前聞こうとしたんじゃなかったの?」
「誰もこんな状況で名前聞こうだなんて思わないわよ」
「僕は聞こうとしたけど」
「バッカじゃないの」
馬鹿扱いされた。不本意。
「君の名前は?」
「……ふん」
「“ふん”さんね。面白い名前だなぁ。何処の人? 南極辺り?」
「……貴方、ふざけてる?」
「うん」
「殺すわよ」
今まさに出欠多量で死にそうDEATH。でもやり残しがあるから保留。やでもナイフ突き付けられている方が脅すって、普通逆じゃ無い? なんか、変な奴。
「変な奴」
「あんたに言われたくないわよっ!!」
声に出てた。そして怒鳴られた。うん、思ったことを口にするのやめようね。僕。
「貴方からあんたに呼び方が変わったことにドキドキが隠せません。二人の距離は急接近中。これは恋なんでしょうか神様」
「バッカじゃないの」
馬鹿呼ばわりされた。不本意。
「で、結局聞きたいことって何なの?」
「急に話戻すわね」
「いいからいいから」
「…………貴方の目的は、何?」
「呼び方が戻った。残念」
「いいから答えなさい!!」
怒られた。
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