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星の蒼さは 103

[445]  金太郎  2008-07-31投稿
「み、緑です……」

一か八か、藍は賭けた。

「……確かか?」

研究員は隣の男に尋ねた。

すると、その男は閉じていた目をかっと開いた。ぞっとする、白い目だった。

「……間違いない」

「ふむ。じゃあ次」

研究員は檻の中のウサギを指した。

「何色だい?」

今度は、何色だ?藍は待った。

黄色だ!

また、どこからか声がする。

「黄色です…」

研究員はちらと、隣の男を見る。

「…確かに」

研究員はふうっと息を吐くと、上機嫌になってこう言った。

「合格だな。はぁ、よかったよかった」

藍の顔写真の貼ってある書類に大きな赤丸のハンコを押すと、藍に向き直って言った。






アキが見て、アポロが伝える。作戦は大成功だった。

「やったー……!」

小声で歓喜の声をあげ、二人は笑いあった。
もちろん、見つからないように、だ。

試験官もよろこんだ様子で書類に何かを書き込んでいる。
これで藍は助かる。

少なくとも、アキもアポロもそれを素直によろこびあった。

「シッー!見つかるよ!」

目配せしながらもアポロも笑いを止められない様子だった。

やっと落ち着いて、二人は押し黙った。


沈黙が流れたからだろうか。

その後の試験官の言葉がやけに、よく聞こえた。


「かわいそうにな……。死んだほうがよかったって思う日が必ずくるぞ。くくく……」


二人は固まった。

「ナンバー1205。お前はこのまま、首都アルテミアの〔月立戦略兵器研究所〕に送られる。部屋には帰れないぞ。このまま行く」

そう言うと、研究員は傍らの男達に目配せした。

藍は男二人に無理矢理立たされ、歩かされる。

「いや!やめてってば!」

「あそこはヤバいぞ………くくく、正解率100%を引き渡したとくれば、俺も幹部に……くくく」

試験官は天井を仰ぎ見、肩を揺らして笑った。

ダメだ。アキは震えが止まらなかった。
藍が連れていかれる。

自分のせいで?

藍が酷い目にあわされる。

自分のせいで。


アキは何もわからなくなり、隠れていた物陰から立ち上がり、叫ぶ

「やめろ!!!」

だが、それはアキの口から発せられたものではなかった。

「アポロ!?」

傍らを見ると、凄まじい形相のアポロが立ち上がり、一点に男達を睨み付けていた。



両の瞳に邪悪な〔赤〕を灯して。

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