リアリズム、
さて、事件が起こらなければミステリは成立しないわけだが、事件はそう簡単に起きたりしない。
自殺に他殺、毒殺絞殺撲殺刺殺、こんなこと普通に生きていれば周りで起こったりなんかしないわけだ。
探偵や警察や家政婦や奥様なんかと関わりをもつなんて以っての外で。
ただ、そういう非日常を望む人間はどこにだっている。探偵は存在しているし、警察も警察署にいけば発見できる。
存在しているなら、関わりをもてるはずだ。
だから僕は事件を起こしてみる。日常から抜け出してみせる。
「以上の内容でよろしかったでしょうか」
「ええ、私が言った通りに書けています。後はそれを〇〇出版に届けてください」
「かしこまりました。報酬の件ですが、後日指定の口座に振り込んでいただけますか?はい、ではまたのご利用をおまちしています」
電話を切り、背中をソファーの背もたれに任せる。
先程の電話の相手は人気の小説家だ。
自分では字を書かないことで有名で、ワープロすら使わない。つまり、必然的に代筆に頼ることになるのだが、代筆をする相手にもワープロを使わせずに手書きさせる。
少し前まではその小説家の担当である出版社の社員が代筆していたのだが、担当が手を骨折してしまい、代筆をする人がいなくなってしまったのだ。だから、今僕はその小説家の代筆をしていたわけだ。
出版社の社員に、僕の仕事を知っている知人がいた。それで、僕に代筆の代わりを依頼してきたのだ。そして、実際にその小説家に会ったところ、気に入られてしまい、担当の骨折が完治した後もこうして代筆を続けている。
「よし、行くか」
口に出して言うことで気合いを入れ、代筆した原稿をアタッシュケースに収納。出掛けに玄関に置いてある姿見で身嗜みを確認。ヘルメットとバイクのキーを持ち、外にでる。その部屋の表札にはこう書かれていた。
【なんでも屋 ばいあす】
「あっ、原稿忘れた・・・。」
自殺に他殺、毒殺絞殺撲殺刺殺、こんなこと普通に生きていれば周りで起こったりなんかしないわけだ。
探偵や警察や家政婦や奥様なんかと関わりをもつなんて以っての外で。
ただ、そういう非日常を望む人間はどこにだっている。探偵は存在しているし、警察も警察署にいけば発見できる。
存在しているなら、関わりをもてるはずだ。
だから僕は事件を起こしてみる。日常から抜け出してみせる。
「以上の内容でよろしかったでしょうか」
「ええ、私が言った通りに書けています。後はそれを〇〇出版に届けてください」
「かしこまりました。報酬の件ですが、後日指定の口座に振り込んでいただけますか?はい、ではまたのご利用をおまちしています」
電話を切り、背中をソファーの背もたれに任せる。
先程の電話の相手は人気の小説家だ。
自分では字を書かないことで有名で、ワープロすら使わない。つまり、必然的に代筆に頼ることになるのだが、代筆をする相手にもワープロを使わせずに手書きさせる。
少し前まではその小説家の担当である出版社の社員が代筆していたのだが、担当が手を骨折してしまい、代筆をする人がいなくなってしまったのだ。だから、今僕はその小説家の代筆をしていたわけだ。
出版社の社員に、僕の仕事を知っている知人がいた。それで、僕に代筆の代わりを依頼してきたのだ。そして、実際にその小説家に会ったところ、気に入られてしまい、担当の骨折が完治した後もこうして代筆を続けている。
「よし、行くか」
口に出して言うことで気合いを入れ、代筆した原稿をアタッシュケースに収納。出掛けに玄関に置いてある姿見で身嗜みを確認。ヘルメットとバイクのキーを持ち、外にでる。その部屋の表札にはこう書かれていた。
【なんでも屋 ばいあす】
「あっ、原稿忘れた・・・。」
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