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よろず屋 大江戸記

[345]  紫峰  2008-08-02投稿

第一章 偶然と必然


◇理由

その日、越前は客が来ない居間で瓦版を読んでいた。
「晋さんっこんなに天気がいいのに部屋にこもってたら体に悪いです。店番ならあたしがしますょ?」
神流はお茶を出しながら心配そうに越前を見た。
しかし越前は聞こえてない様だ。
「ん〜・・・・・神流この記事どう思う?」
そう言っておもむろに神流に瓦版を渡した。

『死体が歩く』
大きな見出しに内容が続いた。

"町外れの道で人の死体が見つかった。その死体はずぶ濡れでまるで土左衛門の様だった。そしてそこから大分離れた河から濡れた足跡が続いてたらしい。まるで死体が河から上がって歩いたように・・・・"

神流は読み終わると瓦版から目を話さずに聞いた。
「これは・・・・何者かが水死体を背負ってそこまで運んだのではないですか?」
「うん。その後だよ神流。」
「えっ?」
神流は瓦版から越前に目を移した。
「何故そうしたと思う?」
「・・・・・・わかりません。何故ですか?」
越前は視線を神流から何処か遠くへ移して言った。
「何故だろうねぇ。そこに置いておきたくなかっのかねぇ・・・・・」
神流が不思議そうに越前を見て口を開きかけた時、表の通りから弥七の声がしてそれを遮った。
「さて仕事だ。」
「そのようですね。」立ち上がる越前に神流は素直に従った。「旦那ァ中村の旦那が手ぇ貸して欲しいん・・・・」
弥七が玄関を開けると二人が草履を履いて立っていた。
「何でぃえらいはえぇじゃないですかぃ?」
「お前は声がでかいからな3丁先まで聞こえるぞ。」
神流の言葉に弥七はおどけた顔をしてこりゃ秘密がだだ漏れだぃっと頭をポンと叩いた。
神流と弥七のやり取りを見ていた越前はクスクス笑いながら歩き出した。
「あっ待ってください晋さんっ」
越前とそれをあわてて追いかける神流を見送った弥七が
「おいらは留守番してるぜぃ」
と大声言うと
「家の物に手ぇ着けたら叩っ切るからな!!!!」
後ろ向きに走りながら神流が怒鳴った。
「おぉ怖い怖いっ・・・・・さて・・・・一眠りしますか・・・・」
そして大きく伸びをして畳に寝転んだ。



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