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史上最強でアホな父!

[1071]  坂崎金太  2008-08-03投稿
とても平和で穏やかな朝が来た。
そんな朝に――
「必殺!コロッシング・キ〇肉バ〇ター!!」
「ゲフゥ!」
――なぜ俺は血を吐かねばならないのだ?
「父よ……起こすときは優しく体を揺するくらいでいいから……グフ」
「おう、おはよう力也!」
聞いちゃいねえ。
……さて、ここまでの流れで突っ込むべきところが三つ。
一、なぜこんな起こし方をされたのか。
二、必殺「コロッシング・キ〇肉バ〇ター」とはなんなのか。
三、父は一体なんなのか。
それぞれの回答はこうなる。
一、日課。
二、俺も初めてされた。
三、史上最強でアホ。
「あのさ……もうそろそろ身体がもたないんだけど」
「今日の朝飯はスパゲッティだぞ!」
「聞けよクソ親父!……ってか、スパゲッティ!?」
一応言っておきます。ここは日本です。
「どこの家庭が朝飯にスパゲッティなんか食うんだよ……俺はいらん」
「ちゃんと食えー!!」
「ブゥォグ!」
そのバックドロップは、床に頭が刺さるほどの勢いだった。よく死なないな、俺。
「朝飯を抜くと身体の調子が悪くなるぞ!例えば、日本を走って横断していた時に倒れたりな!」
そんなことしねぇ。
「はいはい、わかった。食えばいいんだろ?スパゲッティで元気になれるかよ……てか母さんは?」
そういえば、気配がない。
「母さんなら同窓会のために実家に帰ってるぞ!」 なるほど、逃げたか。
「だから朝飯は俺が作った!」
「うん、分かってる。母さんならまともな朝ごはんだろうから」
母さんはなぜ俺を置いて行ったんだ……。
「これから一週間俺たち二人で生きるのだな!」
まさにデッド・オア・アライブだよ、母さん……!
「よし!とりあえず朝の運動に日本横断だぁ!!」
……デッドだよ、母さん。
「……………………………………………ちょっと待ってて、父さん」
俺には、やるべきことがある。
「なんだ!?早くしてくれよ、身体がそわそわしている!」
「少しだけ。母さんに遺書を書くだけだから」

史上最強の父をもつと、命がいくつあっても足りない。
こんな日々が続くのか、それとも俺が死んで終わるか。

まだ、判らないのだ。

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