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選手交代 2nd

[369]  2008-08-04投稿
冷たい
ひんやりとした床の感覚が右の頬にある
おかしい
真夏の しかも日なたの道路で倒れたはずなのに
目を開けると暗闇が広がっている
倒れてそのまま夜まで寝ていたのだろうか…
目がだんだんと慣れてきた頃自分は驚愕した
「ここ…牢屋…?」
思わず声に出してしまった
自分は牢屋など見たことがないので確信はない
だがおそらくここは牢屋だ
私は鉄の檻の中に閉じ込められていた
気付くのが遅かったがここは異様だ
檻の中には隅になぜか古びたテレビがある
そしてもうひとつ
牢屋の扉には鍵さしっぱなしになっている
逃げてくださいと言っているようなものだ
その時思い出した
血…胸から…
震えながらそっと視線を胸に落とした
?
胸から…
赤い糸のような物が出ている
牢屋の異様さなどより自分の姿のほうがよほど異様だ
糸は牢屋の外へ そして闇の中へと伸びその先は見えない
震えがとまらない
「し…死んじゃったの…かな私…」
涙が溢れる
別に胸が痛いからではない
理解できない状況が生み出す恐怖のせいだ
涙をぬぐい怖がりながらも糸を少し引っ張ってみた
糸が引っ張られると皮が山なりになる
完全にくっついているようだ
ふとテレビに目をやった
?
テレビには電源のボタンしかついていない
不良品?
押してはいけない
そう思っているのに指はボタンにのびる
体が脳からの命令を聞かない
思わず目を閉じた
カチリ
音が牢屋に響き渡る
震えながらそっと目を開く
画面には…

色が反転した自分の顔が映っている

自分の顔を見てこんなに驚いたのは初めてだ

反転した自分が口を開く

「て かったーないふ ほうちょう どれがあなたのみぎて?」

反転した自分は幼稚な声で意味不明な事を言い出した

「て かったーないふ ほうちょう どれがあなたのみぎて?」


普通に考えれば「て」だ
だけど後の二つが気になる
なぜ刃物なのか
刃物が右手なわけがない
「どういう意味なんだろ」
「なにもしらないのね」
驚いた
今…テレビと会話を…
「いまからほかのあなたところしあってもらうの」
意味がわからない
理解できない
「はやくえらばないとほかのあなたがくるわよ」



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