ねぇ、覚えてる?
“ねぇ、覚えてる?”
初めて私達が出逢った時の事……
初めてデートした時の事………。
初めて手を繋いだ時の事…
二人とも照れ過ぎて茹で蛸みたいに赤くなってお互いに笑いあったね…。
みんな、みんな、いい思い出だよね。
一緒に笑って、泣いて、でも、喧嘩は一回もしたことがなくて……。
楽しかっよね…
この時は何時までもそんな幸せな時が君と過ごせるんだろうと…
今思うと
私は錯覚を起こしていたんだー…。
【余命、三か月ー…】
気付いた時にはもう手遅れだと聞かされた。
『嘘、だよね……?』
恐る恐る聞いてみたら君はバカみたいに私に微笑んで本当だなんて云うから。
何で…?
何で…?
そんな平気で居られるの…?
そんなに私と離れても悲しささえも感じないの…!!
その時
初めて、君と喧嘩をした。
最初で、最後の君との。
でも、
本当、は
知っていた。
夜
私が居ないとき
家族が居ないとき
君が弱音を吐いていた事…。
ただ、そんな弱気な君を見たくなくてただ君に私の欲をぶつけてしまっていたんだ。
ー…そして、あっという間に君は燃えて灰になってしまった。
呆気ないものだった。
。
最後に君は泣きそうな私にそんな顔をするな、笑えと言った。
そして、泣き止まない私に君は、笑った。
『…………だ、っ……
』
君は動かない。
『………っまだ、ごめんね、って言ってない!!』
今まで暖かい、海みたいな君の片手が、冷たい海になっていく。
『ごめんね!ごめ、ね!!…ごめ…っ……』
『………っあああああああああ!!』
君は、笑っていた。
いつも、私に向けてくれる、
優しい
優しい
笑顔で………。
“ねぇ、覚えてる…?”
君の隣に、私がいたことをー…
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