海の見える車窓・settled 01
急なことではあったが、嘉代(カヨ)は落ち着いていた。
覚悟ならとうに出来ていたからだ。
女手一つで育ててくれた母の癌が見つかったのが今から1年以上前。その時すでに手遅れだったにも関わらず、母は「高校生になるまで面倒みてあげる」と、笑顔で言った口約束を守り、嘉代が高校に上がるまで生き続けた。
そして今、知り合いなど誰一人居ない海岸沿いの町に越してきた。
仕送りだけで繋がっている父の紹介で、この地のアパートに住む手筈になっていた。
―仕送りを無駄遣いしなければしばらくは食べていける…―\r
そんな暗いことを考えながら汽車の窓に頭をも垂れかけていた嘉代は、突然の陽光に目を瞑った。
暗い気持ちがいっとき、吹き飛んでしまった。
眼前に広がる碧い大海に陽光が乱反射して、まるでダイヤモンドを散りばめたように輝いていた。
汽車からは豆粒のように見える漁村があり、人々がせわしなく行き交っていた。
海の向こうには漁船も何隻か見える。嘉代は長い黒髪をてきぱきと後ろ手で結ぶと立ち上がり、両手いっぱいの荷物を持ち上げ汽車の出口へと向かった。
減速を終え、停止した汽車のドアが開いた。
潮風が頬をくすぐった。
覚悟ならとうに出来ていたからだ。
女手一つで育ててくれた母の癌が見つかったのが今から1年以上前。その時すでに手遅れだったにも関わらず、母は「高校生になるまで面倒みてあげる」と、笑顔で言った口約束を守り、嘉代が高校に上がるまで生き続けた。
そして今、知り合いなど誰一人居ない海岸沿いの町に越してきた。
仕送りだけで繋がっている父の紹介で、この地のアパートに住む手筈になっていた。
―仕送りを無駄遣いしなければしばらくは食べていける…―\r
そんな暗いことを考えながら汽車の窓に頭をも垂れかけていた嘉代は、突然の陽光に目を瞑った。
暗い気持ちがいっとき、吹き飛んでしまった。
眼前に広がる碧い大海に陽光が乱反射して、まるでダイヤモンドを散りばめたように輝いていた。
汽車からは豆粒のように見える漁村があり、人々がせわしなく行き交っていた。
海の向こうには漁船も何隻か見える。嘉代は長い黒髪をてきぱきと後ろ手で結ぶと立ち上がり、両手いっぱいの荷物を持ち上げ汽車の出口へと向かった。
減速を終え、停止した汽車のドアが開いた。
潮風が頬をくすぐった。
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