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夜の街 night the city

[572]  西ケ谷  2008-08-07投稿

ネオンの輝かしい色が人の目を引きつけている。有馬健司は歌舞伎町一番街と書かれたネオンの下を潜った。
時間も夜中なので反対に人が押し寄せてくる。
皆急ぎ足で駅に向かっている。なんとか終電に間に合おうとサラリーマン達が汗を掻きながら走っている。滑稽だ。
健司は押し寄せてくる人を押しのけ一番街を進み、そのまま横に行き,サクラ通りに出た。目の前に見えているマックの中にいるのは柄の悪い連中だらけで、奥の席などでは袋に顔を突っ込んでいる連中もいる様だ。
健司はマックを通り過ぎ,コマ劇場の前を進み、小さな交差点に入った。ここは紹介所の人間達の揃い場でここを一人で通ると必ず何かしら声をかけられる。たとえ健司のような人間でもだ。早速,交差点を右に通ろうとしたところで、真ん中に突っ立っていた40過ぎぐらいの男が俺に近寄ってきた。目障りである。案の定近くまで来ると毎度同じセリフを喋り出す。
「お客さん、今日は何系ですか?キャバ系?おっぱい系?ヘルス系?それともソ―プ系ですか?私のお薦めはおっぱい系ですね。今だと4000で可愛い子のをモミモミですからね〜」一人で喋り出す始末だ。男はまた話そうとしたので、俺は男の胸倉を掴み、顔を近くに引きつけた。
「おい!!てめえ、俺を誰だと思って言ってるんだよ!!」
周りの連中が俺を一斉に見た。俺は右手で男を掴みながら左手で首をかっ切る仕草をした。その仕草で男は俺が誰だかわかったらしい。周りの連中も俺から目を離し、仕事を始めた。
男は驚愕で何も話せず、口をパクパクしている。何も聞こえない。俺はあっ何言ってんのか聞こえねえんだよ!!!と怒鳴った。男はぶるぶると震えだし精一杯の声を出し「………すっすいませんでした……まさか、健司さんだと思わなくて………許して下さい……」と言った。滑稽だ。俺は口元を緩め、「わかったならいいんだ、次ん時は話す相手をちゃんと考えるんだな。次会った時もし俺に変な事吹き込みやがったら、そん時はお前も哲治みてえになるからな」俺は冷静に言った。哲治という言葉で男の顔が歪んだ。今にも泣き出しそうである。周りの奴らも哲治という単語で反応した。あの事件の事はここにいる連中は全員知っているだろう。俺は男から手を離し、「とっとと俺の前から消えろ」と怒鳴った。男ははい!申し訳ありませんでした!と言いながら区役所通り方面に走って行った。俺は道を右に逸れ真っ直ぐ歩いた。

感想

  • 11399: 面白いです [2011-01-16]

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