風の便り
ガチャ……キィー…バタン……。「いらっしゃ……久しぶりだね。」小さな喫茶店に1人の男が入ってきた。店内はマスターが1人空いたグラスを磨く音が響く。男は静かにイスに腰を下ろす。「いつもの珈琲を…。」その男とマスターは顔見知りの様だが、マスターは歓迎の表情を見せなかった。うなずくマスターに男が口を開く。「もう1年立つのか…あいつ、来たりしてるのか?」壁にかかっている1枚の写真を見ながら、淋しげな表情を浮かべ男は尋ねた。コポポポポ……カチャン……。出来立ての珈琲の香りが漂う。「わかってるだろ…。」
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