最低な気持ち?
彼女と寄りを戻した自分と
彼氏が出来た義妹
これは極自然な事なのに、心の引っ掛かりをぬぐい切れない…
「……ぇねぇ!!」
「えっ…」
デートの最中。彼女の大声で我に返った。
「あっ…何…?」
「──……やっぱり怒ってるの?虫が良すぎた?」
様子のおかしい蓮華に、彼女が顔を曇らせ、引け目を感じながら聞いた。
「……嫌…別に…」
ソッ気無い態度に彼女は不安を膨らませる。
そんな事にも気付かず、蓮華はずっと上の空だった。
「……いいのか?馬鹿だな」
鞠花の部屋では、鞠花の彼氏が遊びに来ていた。金銀のアクセサリーを身に付け、見た目軽い感じの男は、鞠花の髪を一束握り口付けている。
「蓮華…義兄さんは…きっとそれを望んでいるから…」
「甘い奴…お前ほんとーに人形だな。望めばその躯も簡単に抱かせる…」
「─…」
「うざい奴…」
「?椿…」
鞠花の彼氏、椿が鞠花の目の前に移動するとグッと鞠花の首をワシ掴み、力を入れた。
ギリギリッと首を絞め、鞠花は苦しそうに顔を歪めるが、抵抗はしない。
「死ね…って言ったらお前は死ぬよな?鞠花…」
「ッ…ウッ」
首を絞める椿の手は力を増し、鞠花は息が出来ず、数分後意識を無くし気絶した。一度として鞠花は抵抗はしなかった。
目の前で意識を無くし、倒れた鞠花を辛そうに椿は見つめ、優しく抱き起こした。
「残酷な女…」
気絶している鞠花を抱き締めながら、椿は顔を歪ませ、意識の無い鞠花の耳元で小さく〈愛してる〉と言った。
『私は誰も愛せない。…だから私は誰をも愛せる。偽物の愛なら…』
鞠花は誰も愛せない
人間として欠落しているものを持っていた…
それは回りをも苦しめる…
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