ディア＝パノスのパイロットである峰崎龍雅は一瞬での状況の変化に呆気にとられた。

周囲の地面が突然隆起するとそこから突然、蠍型グルド『スティングアー』の大群が現れた。
ディア＝パノスの頭部の上でハーツはこう告げた。

ハーツ「さぁ、君はこの状況をどう切り抜ける？？歴戦の名パイロットである君なら造作もないことだろう…。ただし…」

ハーツから笑みが零れた瞬間であった。

「イ…イヤアアアア！！！！」

ミラが突然叫び、既に戦闘不能となったプロキオンのコックピット内を転げ回る。
ミラの皮膚はどす黒く変色し右腕の体毛が急激な速度で成長、続いて左腕もその餌食となる。
すべての毛穴からどこから発生したかもわからない位大量の膿がミラの全身を包み込もうとしていた。
当然ながら龍雅にはミラの様子を知る手立てはない。
ミラの苦しむ声が通信を介して聞こえて来るのみである。

龍雅「ミラ！！！どうしたんだ？？？ミラァアア！！！」

動揺を現わにする龍雅をハーツは嘲笑した。

ハーツ「君は『人間のグルド化』については知っているだろう。この技術は我らの主であるティンジェル様の死によって潰えた。しかし、我々は信じているのだ。強制細胞変化の技術が残る限り最強のグルドを誕生させ、人類の進化を爆発的に促進させ、この世界は我々『優れた者』のみが支配すると。そこにもたらされるは真の平和だ。そして…」

ミラは声にならぬ悲鳴をあげ、その場にうずくまりもはやもがく体力すら残っていなかった。

ハーツ「我が主、ティンジェル・ガトナー様の復活をもって我らの役目は達成される！！！！そこには、かつて人類が夢見たユートピアのみぞ広がるのだ！！」

龍雅「ふざけるなぁあああああああ！！！！」

龍雅は怒りをあらわにし大声で怒鳴り散らした。

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