奈央と出会えたから。<191>
聖人の家には、一度行ったコトあるから、場所は知っていたケド、
聖人は、途中まであたしを迎えにきてくれるらしい。
あたしが家を出る頃には、
朝から降っていた雪は、すっかりやんでいた。
白いコートを羽織ったあたしは、
赤いマフラーを結び、ロングブーツを履いたら、
少し急ぎ足で聖人の家へ向かった。
聖人のお父さんて、どんな人なのかな。
あたしの頭の中では、色々な“お父さんキャラ”が想像されていた。
『奈央。』
聞き慣れたその声で呼ばれたあたしは、思わず小走りで歩み寄る。
『聖人!!』
ふぇ〜ん。凄く会いたかったから、超嬉しい。
『奈央。その手に持ってるの‥‥何?!』
聖人の視線が、あたしの手元に向けられた。
『うん。あたしのお母さんが、今朝作った“旨煮”よ。
聖人に食べてもらおうと思って持って来たの。』
『おっっ?!マジで?!サンキュ。』
聖人の笑った顔があたしは大好き。
だって、凄く優しい目になるんだもん。
『ほらっっ。』
『えっ?!』
『手‥‥。』
『うん/////。』
手袋をはめたあたしの手の上から、聖人の手が重なる。
聖人の大きな手が‥‥‥。
『奈央。もしかして緊張してる?!』
ドキンッ――
『うん。心臓の音‥‥‥聞こえてる?!』
『緊張しなくていいから。』
ポンッ――
聖人があたしの頭に優しく手を置いた。
『うん。』
大好きな人と手を繋いで歩いた。
大好きな人の家まで歩いた。
大好きな人と歩く、この道のりが、
ずっと続けばいいのにって思った。
聖人は、そんな風に考えないのかな‥‥‥‥‥。
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