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Killing Night Freaks/Chap.2-2

[331]  夢の字  2008-08-11投稿

「しかしまぁ、なんつーか……広い家だよな、正直。一人暮しだろ? マサト先輩」
「ん、まあね。少なくともこの三週間、ご両親には一度もお会いしたことは無いよ」
「どこの金持ちだよ……いくら一人っ子だからって、一戸建て丸々くれてやるなんて」
「あ、違う違う。なんか自力で立てたらしいよ。いや、お金出しただけなんだけど」
「……マジ?」
「まぢ」
「この4LDKを?」
「この4LDKを」

 海潮が、信じらんねえ、と天を仰いで嘆息する。驚くべきはそれだけでは無い。怪我をした僕をこの家に運び込んだのも、後は抜糸を待つだけになっている僕の怪我を処置したのだって先輩だ。内臓にまで届いていたと思うんだけど。あの傷。

「と、いうか。何よりもこの家に無菌室があるって事が信じられない」
「うへぇ。マジでか」
「防音室もあった。地下」
「……ますます信じらんねえ。何者だよ、あの人」
「本人曰く、“ただの天才”」

 それだけじゃ済まないことも一杯あるんだけど。謎の多い人だ。

「で? 海潮は何の用があってここにきたのさ。まさか手土産も持たずにただの見舞、って訳じゃないでしょ」
「あー、まあな。ちょいと待ってろ」

 言うや否や、持ってきたまま部屋の片隅に放置されていたショルダーバッグの中を漁り始める。そして取り出されたのはホッチキスで纏められた、数十枚に及ぶプリントの群れ。その分厚いのが、二つほど。

「授業のプリントと、ノートの写し。あと、部活の活動予定表な」
「ああ、どうも。手間取らせちゃったみたいで」
「全くだ。後でなんか奢れよ」
「おっけ、分かった。……学食のA定食大盛でいいかな」
「よきにはからえ」
「誤用乙、と。ま、それも完治したらだけど……部活、か」
「どうかしたか?」
「や別に。前回思い出してた」
「ゴールデンウイーク、か……あー、アレはイイオモイデダッタナ」
「落ち着いて海潮、カタコトになってる。……僕としては退屈じゃないからいいんだけど」
「俺はあんな目に会うのは二度とゴメンだ」

 部活動。表向きは新聞部となっているその部は、けれど実質、世の中の真の姿を暴くと言う名目で各種諜報活動を行う危険団体で、何の因果か、僕と海潮はそこに所属している。頭は勿論我らがマサト先輩で、この間なんかはとある政治家の不正を暴いたりもしていた。

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