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エリザベスドール(20)

[632]  ぐうりんぼ  2008-08-13投稿
「…ジミーを殺した」

「らしいわね」

「この話しも聞いてた?」

「うん、しっかりと。
でも信じられない。
エリザベスがカレを殺したなんて」

「ルーク」

マルスがやって来た。

「ロバーツさん」

「ちょっとイイかい?」

「何ですか?」

マルスはしばし、間を置いて話しを進めた。

「症状が完全に良くなるまで、娘を専門の医療施設に入れる事にしたよ。
その方が娘の為にイイと思うからね」

「それがイイかもしれませんね。入院したら、連絡先を教えて下さい。時々、見舞いに行きます」

マルスは、固い表情で言った。

「それは、ダメだ」

「何故ですか?」

「君がモグレ警部に話していた通り、娘は人形の姿をした化け物に殺されそうになった。
実は、娘は気を失う直前に私にこう言ったんだ。
あのエリザベスと名乗る化け物人形は、ルークの恋人だ…ってね。
つまり娘は、君と付き合っている理由で化け物人形の怒りを買い、命を取られるハメになってしまったと言ってもイイ。
となるとだ…、君がずっと、娘と付き合うとなれば、化け物人形も黙っちゃいないハズだ」

「僕にどうしろと?」

「ハッキリ言おう。
娘との関係は、無かった事にして欲しい」

「キャサリンと別れろって事ですか?」

「そうだ。折角、娘と付き合えたのに…非常に残念だけどね。私の要請に素直に従って欲しい」

マルスとルーク、しばし…互いに見つめ合った。

「じゃあ、キャサリンに最後の別れをさせて下さい」

「ああ、構わないよ」

 ────────

リビングに入って来たルーク。

キャサリンは座ったまま、ジッと目を閉じていた。

ルークはキャサリンに歩み寄ると、しゃがみ込んで相手の手を取った。

「気分はどう?」

「…」

勿論、キャサリンは無表情・無反応である。

「君を大変な目に遭わせて、ゴメンね。……………全て僕のせいだ。
……………………
君は専門の病院に入院する事になった。
……早く元気になる事を僕は祈ってるよ」

「…」

「新しいボーイフレンドが出来る事もね。
………僕はもう、君と別れなくちゃならない。
短い間だったけど、凄く楽しかった…」

「…」

「さよなら…、キャサリン…」

ルークはキャサリンの手をゆっくりと離した。
すると、キャサリンは無意識にルークの手をサッと掴んだ。


つづく


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