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罪はやがて闇となる?

[544]  朝顔  2008-08-13投稿


動揺したのは佳代だけではなかった。
胡瓜を掴もうとしていた箸を落とした者もいた。コップに口をつけたまま振り向いた者もいた。
絵美の背中合わせに座っていた男性達でさえ振り向いた。
それだけ絵美の発言は周りを動揺させるものだったのだ。
「本当?」
疑っているわけではないが、あまりに突然な話しに絵美の隣に座っていた友人は瞬きをする事なく聞いた。
「間違いないと思う」
あやふやな表現なのは心のどこかでそんなはずはないと思っていたからなのだろう。
しかし絵美の黒目には確信の色が宿っていた。
間違えるはずがなかった。なぜなら蓉子は一度見たら忘れられない程、個性的な美しさを持っていたからだ。
誰もが憧れた。あれ程完璧に整った顔つきに、それをおごらない素直な性格。彼女はクラスの自慢だった。
彼女の長い髪がなびく度に何人の男子が見取れただろう。それに気づき嫉妬した女子もそれ以上にいたと思う。
「あの噂はやっぱり嘘だったんだ……」
絵美の背中合わせにいた男性の呟きに、皆安堵感から溜息をついた。
けれど佳代だけは両手を強く握り下を向いたままだ。
「ごめんね佳代。佳代が一番仲良かったもんね」
「親友の佳代に何も言わずにいなくなるなんて悲しいけど、噂が本当じゃなくて良かったじゃない」
本来なら喜ぶべきなのだろう。しかし佳代の額にはふつふつと汗が滲んでいた。
佳代は知っていたのだ。最初から噂が偽物であると。
佳代は知っていたのだ。
蓉子が何も言わずにいなくなった理由を。


なぜなら蓉子は、佳代に殺されたのだから。

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