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奈央と出会えたから。<193>

[622]  麻呂  2008-08-14投稿

あたしは、リビングのソファーに腰を掛けた。



聖人のお父さんは、あたしが来る直前まで飲んでいたらしく、



テーブルの上には、焼酎の瓶と、グラス、



焼酎を割る、番茶が置かれていた。





『聖人。お前、奈央ちゃんに茶くらい出さんかい!!

さ、奈央ちゃん。

なまら汚い所やけど、ゆっくりしてってな。』



『あ‥‥は、はいっっ。ありがとうございますっっ!!』





ぷ‥‥ぷぷ。



北海道弁と関西弁のコラボですか。





『親父。まだその変な関西弁抜けねぇのかよ。おかしいぜ。そのしゃべり。

なっ?!奈央?!』




ぷぷぷ‥‥‥。



や‥‥やだ。



あたし‥‥。



ツボにハマっちゃったかも‥‥‥。



どうしよっっ。



あたしは必死に笑いたいのを堪えたんだ。





『お、おい。何笑ってんだよ?!奈央。』





聖人は、いいからあっち行って!!



聖人のお父さんに笑ってるのバレちゃうじゃん。





『うちの親父は、元々神戸の人間だからな。

もう小樽に移り住んで15年も経つのに、てんで関西弁が抜けねぇでやんの。

ほい。ミルクティー。』



聖人は、あたしに暖かいミルクティーを入れてくれた。



そっか。そうだったよね。



聖人の家に初めて来たトキ、



聖人のお父さんとお母さんの“恋の話”、



聖人から、いっぱいいっぱい聞いたんだ‥‥あたし。



『聖人。お前、親の俺にそんな、馬鹿にした口利いて、ただで済むと思とんか?!』



聖人のお父さん、酔ってるのかな。



でも、見たカンジ、そんなに酔ってる風には見えなかったんだけど。



『何だよ。しゃべりが変だから変だって言って悪ぃかよ?!
いちいちうっせーよ!!』



嫌だ。親子ゲンカが始まっちゃったよ。


気まずい〜〜!!





『奈央ちゃん。コイツ10歳まで寝小便しとったんやで。』


聖人のお父さんが、ニヤニヤしながらあたしに言った。



『こ‥‥このっっ。よっ余計なコトを‥‥。くそ親父っっ!!』



『ハハハハハ。お前が悪いんじゃ。

親を茶化しやがるから。』



聖人のお父さんは笑ってるケド、



聖人は黙っちゃった。

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