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雨色の心

[485]  ココロ  2008-08-14投稿

世界を嫌いになってしまいそうだった。

雨の中を自転車で走っていた。

空はどんよりと曇っていて、まるで私の心そのものみたいで。

私は沈黙したままペダルをこぐ。

人が。

あまり好きではないと自覚してしまった。

いや、違う、やっぱり好きだ。

心のどこかで、そう叫んでる自分もいた。

雨はまるで、私を責めるみたいに降り注ぐ。

でもそれが、なぜか心地よくて。

頬に跳ねる雨粒は、慈雨のように私の心を湿らせていく。

カラカラに干からびた空っぽの心を。

雨が満たす。

心地よくて、爽やかで。

いつの間にか、嫌なこと色々、頭のすみに小さく小さくなっていく。

ただ、雨の中走ってる自分が、好きだと思った。

やっと好きだと思えたんだ。

私は全速力で自転車をこぐ。

もっと、もっと速く!

けぶる景色は、灰色で、青みがかっていて、汚くて、でも息を呑むくらいきれいで。

ずっとずっと続けばいい、この雨の世界。

私を包み込め、そして雨と一つになってしまえ!

願いながら走った。

――今なら、この世界を好きでいられる。

そんな気がしたんだ。

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