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星の蒼さは 109

[510]  金太郎  2008-08-15投稿
「エヴァンス将軍、第三WW部隊壊滅。中国軍C‐2地区に侵入。このままのペースではあと20分でここも射程に入ります!」

中国軍は破竹の勢いで進軍中、第三WW部隊に関わらず、戦線が維持できる部隊は減り続けている。

「この司令部は動かさん!後ろはホワイトハウスだ!絶対死守する!全軍にそう伝えろ!」

かと言ってこのままでは破滅は必至、手は無いのが正直な話だった。

少し落ち着こうと今日30本目のタバコに火を点けた時だった。

「?……第十三砲兵隊より入電!」

通信兵が細長い紙を掴んで寄ってきた。

「読め」

「はい、“ワガホウノユウグンアリ、コレヨリハンゲ……」

通信兵が読み終わるより前に、エヴァンスは信じられない光景を見て、口にくわえたタバコを落としていた。



太陽。



主戦場付近。上空100mも離れていないところに。

通信兵も、口を開けたままつったっている。

数秒後、凄まじい量の機械音が司令部を支配した。

ビビービービビー!!!!
思わず耳を塞ぐ、機械音は鳴り止む事を知らなかった。
耳を押さえながら、必死でレーダーの画面を見たエヴァンスは目を疑った。

機械音の正体は敵、味方のWWや兵器が通信不能、つまり破壊された事を示す。

画面いっぱいに広がっていた中国軍を示す赤いマーカー、これのど真ん中にポッカリと穴が空いていた。

そしてすぐ、別の場所で赤いマーカーが機械音と共に、“LOST”の文字を残して消えていく。

エヴァンスは息を飲み、そして確信した。

【WHITE・ANGEL】が来ている、と。






焼け野原だった。
所々に破壊されきれずに倒れている中国軍WW“鉄兵”。それも一様に熱でひしゃげ、原型を止めていない。

光子エネルギーを使用した【プロミネンス・システム】。搭乗者の【色】をアキが吸収し、膨張させる。その力に応じて威力と光の色を変化させるのだ。

ハルの【色】は蒼。

【色】を見ることができる自分には眩しくて見れない程の猛々しい強い光。

威力は恐らく地上の通常兵器の全てを凌ぐ。

「辛くない?」

前の座席のハルがしゃべりかけてきた。

「大丈夫よ」

「すぐ済ます。少し我慢して」

今までは我慢していた。テストパイロット達の欲望や憎悪に満ちた【色】を何度も吸ってきた。

ハルの【色】は違う、苦にならない。もっと欲しいような…。

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