時と空の唄
―――あの日の夢を見た。
正直言ってあの日のことはあまり覚えていない。
だけど確かに覚えているのは風に揺れる長い銀髪と燃えるような真っ赤な夕日。
そして
古い木の匂いで溢れた小さな小屋に流れた母さんの血の色。
ザワザワと風が鳴り、どこかで烏が五月蝿く泣いていた。
夏だった。
十三年前の夏
母さんは何者かによって殺され、俺は天涯孤独の身となり、遠くの孤児院みたいな教会で育てられた。
だけど今日の夢はいつもと少し違った。
母さんの亡骸が幼いあの日の俺を見ている。
「ランスォール…」
母さんはそう言って絶命した。
絶命した母さんはまだ俺を見ていて、それがなんだか恐くて
俺は叫んだ。
何を叫んでいるかはわからない。
夢は
そこで途切れた。
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