時と空の唄1-4
…何か変だ。
少女の手を掴み、路地裏を疾走するがランスォールはすぐにその異変に気が付いた。
急にランスォールが立ち止まったため少女は彼の背中にぶつかった。
「あの…」
「随分手の込んだ事してるじゃんか。」
ランスォールは挑戦するような目付きで道の先に現れた黒スーツの男を睨む。
「この路地裏の奴等を全員追い出すなんて、一体何をした?」
黒スーツの男は笑った。
「何をしたかだと?何、ちょっと小金を渡したまで。」普段、この路地裏という場所は家も金もその多くは家族すら持たない者たちが住む一種の貧民街なのだ。
つまり、そういう者たちがいないということは金を手にしたかもしくはそれに繋がる何かを掴んだかあるいは…ということかなのだ。
「なるほど。満更バカでもないらしい。」
「なに…!?」
「それはそうと、その娘をこちらに渡して貰おう。」黒スーツの男はゴツい右手を出してきた。
ランスォールは少女がわずかに後ずさるのを見た。
「ヤだね。」
「ならば力ずくで奪うまでだ。」
男は懐から銃を出すと真っ直ぐランスォールに銃口を向けた。
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