時と空の唄1-5
男が引き金に手をかけた瞬間。刹那の出来事だった。
ガキィン…
「わりぃな。その銃、廃品回収にでも出しときな。」
男がランスォールに向けていた銃は途中でぱっくり斬られている。
「くっ…仕方ない。」
銃口のなくなった銃を捨てると男は指をパチンと鳴らした。
すると何処からともなく男と同じ黒スーツ集団が現れた。
「この数ではお前も無傷では済むまい。」
それからしばらく、黒スーツ集団とランスォールの乱闘が続いた。
あの人…まさか…
戦う少年の背を見ながら少女は思った。
あぁ、見つけた。彼が能力者なのね。
気が付けば当初10人はいたであろう黒スーツ集団は誰一人としてたってはいなかった。
「大丈夫か?」
ランスォールが少女を振り返った。
しかし。
彼は知らなかった。
彼の背後で黒スーツが一人立ち上がり、その手にはしっかりとナイフが握られていることを。
「死ねぇぇ!!」
「な…!?」
ランスォールは振り向いたが、遅かった。
ドスッ…
人が倒れる音がした。
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