貴方からの電話
そう来ると思った
出るか出ないか迷う事はない

『はい』
自分の弱った声に動揺した
思った以上に気持ちがやられている
昨日は罪悪感で眠れなかった
『ごめん』
謝る貴方の声も弱々しくて虚しい
謝らないで欲しかった
どうせなら終わりを告げられたかった
諦めたいのにそんなに簡単には退けない想いがあるから突き放された方が良かった
なのに私の想いを裏切るように貴方がまた『好き』だと言う
嬉しかったはずの言葉が今の私には辛い
それでも幸せにしたいとか一緒にいたいとか
そんな無責任な台詞に少し腹が立った
私は何なのだろう
奥さんがいるのに
貴方は全てを捨てる事なんて出来るはずもないのに
段々と胸に熱い物が込み上げる
人を傷付けた事が何よりも悲しいのに
貴方に何かを言えば泣きそうになってそんな弱さを感じさせたくないのに無意識に涙声になる

『しばらくは連絡はしません』
私なりの決意
私だって好き
だけど仕方がない事
貴方の迷いを感じ取った
そんな貴方にまた手を伸ばしたくなるから
せめて強く『分かった』と言って欲しかった
なのに悲しそうで情けない返事

もう二人では会えない
会う約束を無かった事にした
何でこんな想いをしないといけないのだろう
何で貴方を好きになったのだろう
貴方への想いは消せないけれど選ばないといけない道
始めから分かってたじゃない

電話を切った後
声を上げて泣いた
さよならを言えなかった自分が情けない
それでも繋ぎ止めたいという想いが私に残っている

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