「交代」
深夜、不穏な空気が漂うTバス停前が一層気持ち悪く感じられ、恵美は少し急ぎ足になった。
空気を感じるのはバス停の前にある公衆電話からだった。今では稀少な「それ」は通り過ぎようとすると、陰湿な空気が通行人をたぐりよせる。
心では嫌悪感を抱くが、恵美はふらふらと「それ」にすいよせられていってしまった。
恵美は恐くて呆然と立ち尽くしていると、けたたましい電子音が辺りに響き渡った。
受話器をとるとしばらく無言だったが、「はい、交代」と聞こえた。
恵美は意味がわからなかったが、気がつくと視点が変わっていた。
目の前には同い年くらいの人が立っていたが、不気味に微笑み立ち去って行った。
状況はすぐにわかった、「入れ変わったんだ…」恵美はしばらくぼんやりとTバス停を見ていた。
むなしさが漂い、自分のおかれている状況に対し「なぜ」かがわからず、もどかしくなって恵美は暴れたが、何も起きなかった。
泣けど、涙は出ない。恵美の心はきちんとあるものの一見はただの公衆電話だ。
恵美はなんとかして戻りたく、強く念じた。
「交代」していった人は怨念のようなもので人を引きつけていたのだとわかり、恵美は悲しみを訴えた。
やはり今では公衆電話を使う人はあ
空気を感じるのはバス停の前にある公衆電話からだった。今では稀少な「それ」は通り過ぎようとすると、陰湿な空気が通行人をたぐりよせる。
心では嫌悪感を抱くが、恵美はふらふらと「それ」にすいよせられていってしまった。
恵美は恐くて呆然と立ち尽くしていると、けたたましい電子音が辺りに響き渡った。
受話器をとるとしばらく無言だったが、「はい、交代」と聞こえた。
恵美は意味がわからなかったが、気がつくと視点が変わっていた。
目の前には同い年くらいの人が立っていたが、不気味に微笑み立ち去って行った。
状況はすぐにわかった、「入れ変わったんだ…」恵美はしばらくぼんやりとTバス停を見ていた。
むなしさが漂い、自分のおかれている状況に対し「なぜ」かがわからず、もどかしくなって恵美は暴れたが、何も起きなかった。
泣けど、涙は出ない。恵美の心はきちんとあるものの一見はただの公衆電話だ。
恵美はなんとかして戻りたく、強く念じた。
「交代」していった人は怨念のようなもので人を引きつけていたのだとわかり、恵美は悲しみを訴えた。
やはり今では公衆電話を使う人はあ
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