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奪い屋3〜大失敗〜

[689]  hiro  2008-08-28投稿
(ピンポーン)
私は呼び出しボタンを押した。間もなく、男が出てきた。
「何でしょう。」
「約束通り持って来たぞ、花だ。」
「ああ、どうも。」
「じゃあ、また1週間後に会おう。」
私はすぐにその場を後にした。できるだけ家に居たかった。
それにしても、あの男の喋り方が昨日と違ったなあ。何か変だ。

1週間後、私は依頼者の男の家に居た。
「何ですか、突然!」
男は困った顔をしている。今頃になって死ぬのが怖くなったのだろう。演技をしているようだ。
「とぼけるな、花を受け取っただろう。もう1週間経った。」
と言って、私はナイフを男の胸に刺した。
「なぜだーー!」
と、男は倒れた。
ナイフで刺されてもなぜだ、ととぼけるはおかしい。
そこで私は感づいた。罪悪感が込み上げる。
私の推測は、こうだ。
この前の電話の時、依頼者の男は嘘をついた。
自分の名前と住所を言うときに、相手の名前と住所を言った。相手の名前と住所を言うときに自分の名前と住所を言ったのだ。
私は、あろうことかその嘘にだまされた。
結局、電話の男は、自分の家から花が盗られるだけで、1週間後に相手を殺すことができるということだ。
私が今、その相手を殺した。あの男の思惑通りだ。
本当は花じゃなくて、なんでも良かったんだな。
わざと鍵をかけなかったのか、思惑がスムーズに進むように。私の殺した男が花を受け取ったのは、事前にくそ依頼者が「花贈るから」とか言って電話したんだろう。
私は1度もくそ依頼者の顔を見ていないということだ。これでは、見つけたらただじゃおかねー、とも言えない。くそ依頼者の家に行けばいいが、どこか違う場所に隠れているに違いない。
何でこんな単純なことに気付かなかったんだろう?
私は深く反省した。 ー続くー

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