飛行機雲?
「ハルったら、何で李な
んかかまうのよ、木場に
目つけられちゃったじゃ
ない。」
1限目の放課に、マイが心配そうに言って来た。
「そうだよ、マジあり得
ないって。あんな奴かま
ったって、感謝ひとつし
やしないよ。て、言うか
何も分かってないって。
」
「そうそう。わたしだっ
て話の流れの中でやっと
ハルが李に同情してるっ
ぽいってわかったぐらい
だもん。」
今日の、サヤとマイの会話は耳障り。
「別に、同情なんてして
ないって。」
わたしだって、朝起きたところからやり直したいぐらいだ。
「とにかく心配かけてご
めん。もう、しない。」
早くこの話から、逃れたかった。
「だよね。ハル、A校推
薦もらうんでしょ?あそ
こ、厳しいから 面倒は
避けた方がいいよ。」
マイは真顔で言った。わたしには全てが面倒。自分の体ひとつ思い通りにならないのに、どれだけの時を生きて行かなきゃならないの?頭が重い。
「鈴木悪い、日誌書いてと
いて。俺、部活だから。」
出席番号順で、一緒に日直をやっている佐藤はサッカー部で、3年は、夏の大会が最後だから仕方ない。もう、ユニフォームに着替えて、気持ちは、雨上がりのグランドに走っている。別に文句も言わず、引き受ける。サヤもマイも部活に行った。
放課後の教室は、もう、
誰もいない。帰宅部も塾通いなのか、ほんとに帰宅したようだ。
席に座って、日誌を広げる。とたんに、また、あの痛みが襲ってきた。
たまらず、机にうつ伏せた。何度か頭の位置を変えているうちに、ふと、斜め前の席が目に入った。李遼の濡れた足元が浮かんでくる。
あの後、わたしは李遼を一度も見ようとしなかった。靴下は、乾いただろうか。何故、こんなにあいつの足先が気になるんだろう。切ないような、情けないような感情がこみ上げてくる。
苦しそうに、痛そうに見えたから?
(靴下、脱げば?)
心の中で繰り返し、言ってみる。目尻から熱いものが流れ落ちた。もう、何年も泣いた事なんてないのに。その分を取り戻そうとするように、涙はは溢れ出す。悲しいのか、悔しいのか、それすら解らない。止まらない涙を押さえようと、もう一度うつ伏せた。
「具合、悪いの?」
背後で、声がした。
んかかまうのよ、木場に
目つけられちゃったじゃ
ない。」
1限目の放課に、マイが心配そうに言って来た。
「そうだよ、マジあり得
ないって。あんな奴かま
ったって、感謝ひとつし
やしないよ。て、言うか
何も分かってないって。
」
「そうそう。わたしだっ
て話の流れの中でやっと
ハルが李に同情してるっ
ぽいってわかったぐらい
だもん。」
今日の、サヤとマイの会話は耳障り。
「別に、同情なんてして
ないって。」
わたしだって、朝起きたところからやり直したいぐらいだ。
「とにかく心配かけてご
めん。もう、しない。」
早くこの話から、逃れたかった。
「だよね。ハル、A校推
薦もらうんでしょ?あそ
こ、厳しいから 面倒は
避けた方がいいよ。」
マイは真顔で言った。わたしには全てが面倒。自分の体ひとつ思い通りにならないのに、どれだけの時を生きて行かなきゃならないの?頭が重い。
「鈴木悪い、日誌書いてと
いて。俺、部活だから。」
出席番号順で、一緒に日直をやっている佐藤はサッカー部で、3年は、夏の大会が最後だから仕方ない。もう、ユニフォームに着替えて、気持ちは、雨上がりのグランドに走っている。別に文句も言わず、引き受ける。サヤもマイも部活に行った。
放課後の教室は、もう、
誰もいない。帰宅部も塾通いなのか、ほんとに帰宅したようだ。
席に座って、日誌を広げる。とたんに、また、あの痛みが襲ってきた。
たまらず、机にうつ伏せた。何度か頭の位置を変えているうちに、ふと、斜め前の席が目に入った。李遼の濡れた足元が浮かんでくる。
あの後、わたしは李遼を一度も見ようとしなかった。靴下は、乾いただろうか。何故、こんなにあいつの足先が気になるんだろう。切ないような、情けないような感情がこみ上げてくる。
苦しそうに、痛そうに見えたから?
(靴下、脱げば?)
心の中で繰り返し、言ってみる。目尻から熱いものが流れ落ちた。もう、何年も泣いた事なんてないのに。その分を取り戻そうとするように、涙はは溢れ出す。悲しいのか、悔しいのか、それすら解らない。止まらない涙を押さえようと、もう一度うつ伏せた。
「具合、悪いの?」
背後で、声がした。
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