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幼馴染-osananazimi-

[422]  こたつ  2008-08-28投稿
ある日風船を見つけた。
「助けて」と書いてあった。
俺はその風船を手にとった。
ゴムと土と潮の香りがした。
昨日は雨が降った。
俺は走った。
海が見える丘まで。
崖の下を覗くと。
居た。
幼馴染みのバカ女。
「なんで分かったん?」
「アホ。お前の汚い字何年見とると思とる。」
「…ありがと。」
「バ〜カ。泣くな。」
俺は手をしっかり握り、コイツを引き上げた。
「…怖かった。」
泣き止むまで抱き締めてやった。
「傷痛むか?」
「うん。ちょっと。」
腕の傷を舐めた。
「っっちょっと?!何するん?」
ちょっと驚いた様子だった。
「動くなよ。消毒。」
「汚い。」
「ひどっ。立てるか?」
「うん。」
ゆっくり立ち上がった。
「帰ろか。」
二人で歩き出した。
「なんであんなとこにいたん?」
「なんでって…今日何の日か覚えとる?」
「さぁ〜何かあったか?」
「ひど〜い。」
本当は覚えてる。
ちょうど10年前、ここで初めて会った。
その日は手を繋いで帰った。
だから、今日も俺は手を繋いだ。
「覚えとるやん…。」
好きな子は恥ずかしそうに呟いた。
「…当たり前やろ。」
俺も呟いた。

甘酸っぱい15才の夏の思い出。

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