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飛行機雲?

[167]  2008-08-29投稿
いつの間に入って来たのか、人が立っている。
そして、わたしは、それが誰だかわかってしまった。
李遼。
あいつは中国人だから、
微妙にイントネーションが違うんだ。涙はまだ、止まってない。
「鈴木?」
声をかけないで。あっちへ行って!わたしは今、誰よりもあんたに会いたくない!
振り向かずに立ち上がって、逃げ出そうとした。
足が動かない。体が傾く。目の前が真っ暗になる

「鈴木!」
一瞬だけ、その声に引き戻され、明るくなった世界にあったのは、李遼の驚いた顔だった。切れ長の細い目が、猫の目みたいに見開かれていた。
そのまま、闇の幕が降りた。

気がついた時は、保健室のベッドの上だった。
「あ、良かった、気がつ
いた?」
保健室の田辺先生が、覗き込んでいた。
「貧血ね、鈴木さん、時
々立ちくらみして、お家
の階段から落ちた事もあ
るって、保健カードの備
孝ラ欄に書いてあったも
のね。今、ひどいの?」
気分は、少しよくなっていた。
「二日目だから、少し。」
田辺先生は、唇に人差し指を当てた。わたしは、意味が分からなかった。
「李くんが、背負って、
走って来たのよ。汗びっ しょりで、鬼みたいな顔
して、ね、李くん?」
カーテンを少し開けた先生の手の向こう側、李遼が、壁にもたれて立っていた。
わたしは、跳ね起きた。居るなんて知らなかったから!二日目なんて言うんじゃなかった。しかも、おんぶして走るなんて!きっと誰か見てたに違いない!最悪!
「わたし、もう大丈夫で
す。帰ります。」
ベッドから降りようとして、ふらついた。
「お家に連絡したけど、
誰もいらっしゃらなくて 。」
「母はパートで遅いです
し、父は単身赴任でいま
せん。弟は小さいから、
保育園に預かってもらっ
てます。」
無理に動こうとするわたしを引き止めて、田辺先生が言った。
「雨も降ってきたのよ、
もう、暗いし。」
「でも、帰ります。弟、
迎えに行かないと。」
足元がおぼつかない。
「困ったわね、わたしも
これから研修会だし。
李くん、悪いけど、送っ
てあげて。」
この先生は、若くて話がわかるとかで人気はあるけど、空気が読めない。
嫌がってるのわかんない?

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