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飛行機雲?

[257]  2008-08-29投稿
「いいです。一人で帰り
ます。」
また、ふらつく。しっかりしてよ、わたしの体!
「ほら、危ないって。ね
、李くん、頼むね。先生
恩に着るから。」
「先生、中学生の男女、
率先して暗い中ふたりで
帰さないと思うけど、普
通。」
李遼のぶっきらぼうな声。あいつ、いつの間にあんなに日本語上手くなったんだろう。発音は少し変だけど。
「あなた達、どっちもそ
ういうキャラじゃないで
しょう?先生だって、人
見て言ってるって。」
わたしの意見も聞けよ!
嫌だってば!
「ゆっくり歩いて帰りま
すから。休みながら。」
阻止しなくちゃ。なんとしても!
「危ないだろ、送るよ。
学区内だし、別にどうっ
て事ない。」
何で引き受ける!!
あり得ない!!!

保育園は、園児を絶対他人に渡さないので、弟を人には頼めない。
李遼と離れて歩きたいけど、時折よろけるので早足は出来ない。仕方なく、遅れて歩こうと立ち止まり、あいつが先に行くのを待った。けれど、李遼は自分も立ち止まり、わたしの後ろに回ろうとする。
「ひっくり返ったら、わ
からないだろう。前を歩
けよ。」
李遼の言葉に、わたしは驚いて息をのんだ。
こいつ、支えるつもりだ!冗談じゃない!今だって、誰が見てるか解らない!もう、倒れてたまる
もんか!
また、後ろに少し下がる。李遼は、振り向いて待っている。
うつむいて歩くわたしの目に、李遼の足元が見える。今はスニーカーをはいているけど、結局、びしょ濡れ。
喉に何かこみ上げてきて、足を止めた。
「歩けないのか?」
李遼は、わたしの側に近づく。
「体、弱いの?どこか痛
むのか?」
その言葉に意味もなくカッとして、わたしは怒鳴った。
「弱くなんかない!お腹
が痛いのは病気じゃない
!生理中だからよ!」
李遼は、無言で立ち尽くした。
時が止まり、雨音だけが聞こえていた。
「ごめん。」
沈黙を破ったのは、李遼だった。
「オレ、男兄弟しかいな
いから。」
振り切るように駆け出そうとするわたしの手を、李遼が掴んだ。
「危ないのは一緒だろ?
オレ、頼まれてるし。」
「いいってば。」
掴まれた腕に、思いがけない強さを感じた。


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