飛行機雲?
「いいです。一人で帰り
ます。」
また、ふらつく。しっかりしてよ、わたしの体!
「ほら、危ないって。ね
、李くん、頼むね。先生
恩に着るから。」
「先生、中学生の男女、
率先して暗い中ふたりで
帰さないと思うけど、普
通。」
李遼のぶっきらぼうな声。あいつ、いつの間にあんなに日本語上手くなったんだろう。発音は少し変だけど。
「あなた達、どっちもそ
ういうキャラじゃないで
しょう?先生だって、人
見て言ってるって。」
わたしの意見も聞けよ!
嫌だってば!
「ゆっくり歩いて帰りま
すから。休みながら。」
阻止しなくちゃ。なんとしても!
「危ないだろ、送るよ。
学区内だし、別にどうっ
て事ない。」
何で引き受ける!!
あり得ない!!!
保育園は、園児を絶対他人に渡さないので、弟を人には頼めない。
李遼と離れて歩きたいけど、時折よろけるので早足は出来ない。仕方なく、遅れて歩こうと立ち止まり、あいつが先に行くのを待った。けれど、李遼は自分も立ち止まり、わたしの後ろに回ろうとする。
「ひっくり返ったら、わ
からないだろう。前を歩
けよ。」
李遼の言葉に、わたしは驚いて息をのんだ。
こいつ、支えるつもりだ!冗談じゃない!今だって、誰が見てるか解らない!もう、倒れてたまる
もんか!
また、後ろに少し下がる。李遼は、振り向いて待っている。
うつむいて歩くわたしの目に、李遼の足元が見える。今はスニーカーをはいているけど、結局、びしょ濡れ。
喉に何かこみ上げてきて、足を止めた。
「歩けないのか?」
李遼は、わたしの側に近づく。
「体、弱いの?どこか痛
むのか?」
その言葉に意味もなくカッとして、わたしは怒鳴った。
「弱くなんかない!お腹
が痛いのは病気じゃない
!生理中だからよ!」
李遼は、無言で立ち尽くした。
時が止まり、雨音だけが聞こえていた。
「ごめん。」
沈黙を破ったのは、李遼だった。
「オレ、男兄弟しかいな
いから。」
振り切るように駆け出そうとするわたしの手を、李遼が掴んだ。
「危ないのは一緒だろ?
オレ、頼まれてるし。」
「いいってば。」
掴まれた腕に、思いがけない強さを感じた。
ます。」
また、ふらつく。しっかりしてよ、わたしの体!
「ほら、危ないって。ね
、李くん、頼むね。先生
恩に着るから。」
「先生、中学生の男女、
率先して暗い中ふたりで
帰さないと思うけど、普
通。」
李遼のぶっきらぼうな声。あいつ、いつの間にあんなに日本語上手くなったんだろう。発音は少し変だけど。
「あなた達、どっちもそ
ういうキャラじゃないで
しょう?先生だって、人
見て言ってるって。」
わたしの意見も聞けよ!
嫌だってば!
「ゆっくり歩いて帰りま
すから。休みながら。」
阻止しなくちゃ。なんとしても!
「危ないだろ、送るよ。
学区内だし、別にどうっ
て事ない。」
何で引き受ける!!
あり得ない!!!
保育園は、園児を絶対他人に渡さないので、弟を人には頼めない。
李遼と離れて歩きたいけど、時折よろけるので早足は出来ない。仕方なく、遅れて歩こうと立ち止まり、あいつが先に行くのを待った。けれど、李遼は自分も立ち止まり、わたしの後ろに回ろうとする。
「ひっくり返ったら、わ
からないだろう。前を歩
けよ。」
李遼の言葉に、わたしは驚いて息をのんだ。
こいつ、支えるつもりだ!冗談じゃない!今だって、誰が見てるか解らない!もう、倒れてたまる
もんか!
また、後ろに少し下がる。李遼は、振り向いて待っている。
うつむいて歩くわたしの目に、李遼の足元が見える。今はスニーカーをはいているけど、結局、びしょ濡れ。
喉に何かこみ上げてきて、足を止めた。
「歩けないのか?」
李遼は、わたしの側に近づく。
「体、弱いの?どこか痛
むのか?」
その言葉に意味もなくカッとして、わたしは怒鳴った。
「弱くなんかない!お腹
が痛いのは病気じゃない
!生理中だからよ!」
李遼は、無言で立ち尽くした。
時が止まり、雨音だけが聞こえていた。
「ごめん。」
沈黙を破ったのは、李遼だった。
「オレ、男兄弟しかいな
いから。」
振り切るように駆け出そうとするわたしの手を、李遼が掴んだ。
「危ないのは一緒だろ?
オレ、頼まれてるし。」
「いいってば。」
掴まれた腕に、思いがけない強さを感じた。
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